介護の知恵袋

家庭(在宅)介護と施設介護

 家庭(在宅)介護と施設介護、どちらがいいのでしょうか? これは、介護保険制度ができる以前がら、いわれ続けてきたことです。本人にとっても、周囲の介護する家族にとっても、今後、こうした悩みはますます増えるものと思われます。


できれば家族といつも一緒に

 過去の「高齢者介護に関する世論調査」(内閣府)などを見ると、多くの人が、高齢になり介護が必要になったとしても、家族と一緒に暮らしたいと思っているようです。一緒に過ごしてきた家族とともに、安心して幸せな老後を送りたいと願うことは、きわめて当然のことでしょう。しかし、核家族化という現実のなか、なかなか思うような老後を送れない高齢者も多いようです。 

 高齢になり介護が必要になったとしても、施設での老後をいやがるお年寄りの多くは、その理由として、「他人に世話されることや、それまで面識のなかった人たちとの共同生活が苦痛だ」「家族との暮らしとは違い、遠慮や気づかいも必要になるだろうから」などを挙げています。昨今は金銭的な理由を挙げる人も少なくありません。いずれにしても、「老後は可能な限り住み慣れた家で家族とともに」と望んでいる人が多いということが分かります。

 一方、施設で老後を送りたいというお年寄りの場合、「家族に迷惑をかけたくない」「専門的な介護を受けられるから」「緊急時に安心」などの理由を挙げた人が多くいました。介護保険制度が施行されて以来、高齢者用施設もさらに充実しつつあります。

家庭介護・施設介護を組み合わせて

 介護する側も、「自分たち家族の手で介護したい」という人が多いのですが、最近「介護疲れ」が問題になっているように、介護に携わる家族の負担が大きく、介護す側が健康を害してしまうといった問題が浮かび上がっています。確かに介護は家族にとって大きな負担となります。

 そこで、基本は家庭(在宅)介護であっても、介護する家族の負担軽減のために、訪問介護や、施設介護を組み合わせることを考えてみましょう。その中でも、介護老人保健施設や、通所介護施設(デイサービス)などの役割は在宅介護を支えるうえで大きな役割を担っています。またショートスティを利用すれば、家族は1日、2日であっても負担から解放されます。

 本人にとってもよい刺激になることが多く、ぜひ考えてみてほしいと思います。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2011年3月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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