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頭痛で悩んでいませんか?

 頭痛を体験したことがない人はいないでしょう。ところが頭痛の原因=なぜ頭痛が起こるのか、については、はっきりしたことは解明されていません。それでも多くの人が頭痛を訴え、医療施設を訪れます。

 頭痛には大きく分けると慢性頭痛と症候性頭痛があります。


頭痛にもいろいろな種類がある?

 頭痛で悩んでいる人が意外に多いようです。頭痛というと、いわゆる慢性頭痛をイメージする人が多いと思いますが、実は頭痛にもいろいろな種類があります。

1.慢性頭痛

 偏頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛など、いわゆる「頭痛もちの頭痛」と呼ばれるものです。ひと口に慢性頭痛といってもその種類ごとに痛み方などにも違いがあって、そのタイプにあった対処が必要となります。

 また、偏頭痛には、目がチカチカしたり(閃輝暗転といいます)、視野が狭くなる、肩がこる、生あくびを連発するなどの前触れ症状が多く見られます。命にかかわるような危険なものではありません。

2.脳や全身の病気が原因の頭痛(症候性頭痛)

 脳やその他の病気が原因となって起こる頭痛です。慢性頭痛とは違い、なかには命にかかわるものもあります。

3.日常的な生体反応としての頭痛

 冷たいものを食べたときなど、頭がキーンと痛くなります。二日酔いの頭痛などもそうです。

 これはだれにでも起こる生体反応としての頭痛ですから、とくに心配する必要はありません。

慢性頭痛の種類と対処の仕方

 慢性頭痛には大きく分けて、次の3つのタイプがあります。いずれも脳自体に異常はなく、危険は少ないと考えられます。

@偏頭痛

 ズキンズキンと脈に合わせて痛む、前兆がある、同じ部位の頭痛を繰り返すなどの特徴があります。女性に多く見られます。

 原因としては、セロトニンという血管を収縮させる作用を持つ物質が放出されることで、一度収縮した頭部の血管が再び拡張することによって頭痛が起こるという説、脳神経の中で最も大きい三叉神経が関与しているという説があります。

 対処法としては、規則正しい生活をして自律神経の働きを整え、自分の痛みを誘う誘因を避ける、痛みが出そうなときに、頭部を冷やして安静にする、などがあります。ひんぱんに起こるのであれば、治療薬を服用します。

A緊張型頭痛

 頭をギュッとしめつけられるような圧迫感のある痛みや、重い感じがダラダラと続くのが特徴です。緊張型頭痛は、身体的ストレスが関係していると考えられています。

 首や肩のこり、筋肉が緊張する、ふだんの姿勢の悪さ、身体のゆがみ、目の疲れなど、さらには歯の噛み合わせの悪さが原因となることもあります。また、精神的な緊張やストレスも原因となります。

 緊張型頭痛の対処法としては、原因となる筋肉の緊張を解消することが大切です。正しい姿勢を心がけ、骨格・体型の歪みを改善します。痛みが始まったら、凝っている部分を温めます。マッサージなどで凝りをほぐすことも効果があります。高すぎる枕が原因となることもあります。

B群発性頭痛

 慢性頭痛のなかでは群発性頭痛が、目の奥がえぐられるような最も激しい痛みといいます。20〜30歳代の男性に多くみられ、決まった片側が痛みます。

 年に1、2度、あるいは数年に一度の群発期と呼ばれる期間に、毎日のように、しかも決まった時間に起こります。

 とにかく痛みが激しいので、対処法としては、群発期を予測して予防薬を服用します。また、群発期にアルコールは禁物です。

命にかかわるものもある症候性頭痛

 症候性頭痛は、なんらかの病気が原因となって起きる頭痛です。髄膜炎、脳腫瘍、くも膜下出血などの脳血管障害などの病気によって起こるものもあり、こうした原因の場合、命にかかわることもあります。このような頭痛の場合は、至急、医療機関を受診することが必要です。さらに副鼻腔炎や歯肉炎などの病気が原因となることもあります。

・くも膜下出血の特徴

 突然激しく痛み出し、意識障害や嘔吐を伴います。

・脳出血

 痛みが徐々に強くなり、手足のしびれ・意識障害・ろれつが回らなくなるといった症状が現れます。

・脳腫瘍

 頭痛ほのかに、嘔吐やけいれん・手足の麻痺・言語障害・視力の低下・視野が狭くなるといった症状を伴います。

日常生活の改善で症状を軽減できる頭痛もある

 「原因が分からない!」、「なかなか効果のある薬に出合えない!」など、つらい頭痛で悩んでいる人の多くに共通するのが、 精神的ストレス ・運動不足 ・食生活をはじめ生活習慣の乱れといったことです。

 やはり基本的な生活習慣をきちんと整えないと、私たちの身体は、いろいろと不具合が生じるようです。

 例えば寝不足・寝過ぎも頭痛の原因になることがあります。また、偏頭痛(頭痛持ち)の人が、朝食、特に炭水化物を抜くのはよくありません。神経組織が必要とする唯一の栄養源・グルコース(糖の一種)が減ると、頭痛を誘発してしまうからです。

 逆に言えば、頭痛は生活改善である程度、軽減できるということになります。

 いずれにしてもあまりにもつらい頭痛、激しく痛む頭痛などは、かかりつけ医に早めに相談してください。

 また最近では、重症の偏頭痛発作が起きてからでも(痛みが起ってからでも)有効とされる「トリプタン系製剤(セロトニン受容体作動型偏頭痛治療薬)」が、日本でも内服薬として発売されています。偏頭痛に悩んでいる人たちにとっては朗報です。

 ただし、医師の処方が必要な要指示薬で、使用に際してはいくつか条件があります。やはり頭痛専門医やかかりつけ医に相談してください。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2011年5月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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