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インフルエンザ予防と対策

今年もまた、インフルエンザの季節がやってきました。インフルエンザは、せきや痰などの呼吸器の炎症や発熱など、かぜとよく似ていますがその症状は重く、死に至ることもある病気です。早めの予防対策と、かかったかなと思ったら早期受診を心がけましょう。



インフルエンザってどんな病気?

毎年冬になると流行するインフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染によって起こります。

普通のかぜの症状は、咳や鼻汁が出る、のどが痛む、熱が出るなどですが、全身症状が出て重症化することはめったにありません。

一方、インフルエンザは突然の全身症状から始まります。いきなり高熱が出て、頭痛、関節痛、筋肉痛など、その症状は全身におよびます。せきや鼻汁が出るなど、一般的なかぜの症状もあります。

流行性疾患であるインフルエンザは、日本では例年、12月から3月にかけて季節性インフルエンザが流行します。

体内に免疫のない新型ウイルスによる、新型インフルエンザにも注意が必要です。流行が始まると、乳幼児から高齢者に至るまで、短期間に膨大な数の人に感染、猛威をふるいます。

体力のない乳幼児や高齢者では肺炎を併発するなど、重症化することも少なくありません。死亡に至るケースさえあります。

インフルエンザの予防対策

最も効果的なのはインフルエンザワクチンの「予防接種」を受けること。インフルエンザにかからずにすむか、かかってしまっても、重症化が防げます。

ワクチンは予防接種後、効果が現れるまで2週間ほどかかります。その後は5か月間ほど、効果が持続します。

予防接種法に基づいて、65歳以上の高齢者については、公費負担(一部自己負担がある場合もあり)でインフルエンザの予防接種を受けることができます。また、60歳以上65才未満の人でも、心臓や腎臓、呼吸器などに重い障害のある人は同様に受けられます。

さらに、これら対象者以外でも費用自己負担で受けることができますから、かかりつけ医に相談してください。特に高齢者や乳幼児には予防接種をおすすめします。

日常生活では、外出後の手洗い・うがいを徹底して予防します。

まず、手洗いで付着したインフルエンザウイルスを洗い流します。手洗いはあらゆる感染症予防の基本。石鹸で念入りに洗いましょう。

うがいはウイルスが体内に入る前に洗って吐き出すために行います。のどに適度の湿り気を与えることにもなります。念入りに、10〜15秒間、数回繰り返してください。

ウイルスを避けるため、できるだけ繁華街や人ごみへの外出を控えるようにします。外出の際はマスクを忘れずにしましょう。

室内では加湿器などを利用して、のどの乾燥を防ぐようにします。乾燥することにより、のどの防御機能が低下してしまうからです。また、栄養バランスのとれた食事と十分な睡眠で、体の抵抗力を高めるようにしてください。

かかったかな?と思ったら

急な発熱などの症状から、インフルエンザにかかったかなと思ったら、早めに医療機関を受診しましょう。

基本的に水分をしっかり摂って、安静にして睡眠をとります。せきやくしゃみなどが出る場合はマスクをして、家族など周囲への感染を防ぐことを心がけます。

インフルエンザの治療には「タミフル」などの抗インフルエンザ薬が用いられますが、インフルエンザの症状が出てから経過した時間によって、あるいは症状によって、どんな薬を使うかが違ってきます。医師の判断に従ってください。

抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に服用を開始した場合、より一定の効果が期待できます。そうした意味からも、インフルエンザが疑われたら、すぐにかかりつけ医を訪ねてください。


我が国のインフルエンザワクチンの歴史は、1962年、インフルエンザ流行阻止のため、すべての学童にインフルエンザワクチンの集団接種が行なわれるようになったことに始まります。

その後、「インフルエンザワクチンは効果がない!」などと言われ、接種率は急激に低下した時期もありましたが、ワクチンの品質は向上し、現在に至っています。現行のワクチンは副作用も少なく、世界的に見ても安全性に優れたワクチンと高い評価を得ています。

これまで誤解を招いた理由の一つに、「ワクチン接種をしてもインフルエンザにかからないわけではない」という理解が行き渡っていなかったことがあります。インフルエンザの感染を、ワクチンで直接防ぐことはできないのです。「ウイルスの活発な活動を抑え込んで、重症化を防ぐ」のがインフルエンザワクチンです。ですから、もしかかってしまっても軽いかぜ程度ですませることができるということなのです。

インフルエンザは重症化すると死に至ることもある病気です。特に高齢者や乳幼児は抵抗力も弱く、重症化の恐れが高い「ハイリスク群」。接種の副作用などについてあらかじめ医師に相談したうえで、ぜひ接種を受けることをおすすめします。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2011年11月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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