口内の病気の代表的なものに、むし歯があります。むし歯は、細菌による感染症ですから、口のなかを清潔に保つことで防ぐことができます。 むし歯があると、食べ物もおいしくありませんし、しっかり咀嚼できないと健康にも影響を及ぼします。
むし歯の原因となるのは、「ミュータンス菌」という細菌です。ミュータンス菌は、食べ物に含まれる糖分を分解して、グルカン(多糖類)と呼ばれる、ネバネバした不溶性の物質をつくります。このグルカンが歯垢(プラーク)の成分となり、歯垢のなかでは歯の大敵である「酸」がつくられます。
この酸によって歯が溶かされ、むし歯が進行します。
むし歯になることで辛いのは、何といっても痛み。食事もおいしくなくなってしまいますし、痛みがひどくなると絶えず気になり、夜も眠れなかったりします。 治療せず我慢していると、やがて進行し、歯の神経まで達して神経が死んでしまうと一時的に痛みが治まったりしますが、放置することで細菌が増殖、痛みが再発したり、最終的には歯を抜かなくてはならなくなります。
すると歯並びが悪くなるなど、ほかの健康な歯にも悪影響を与えたりします。
むし歯の進行を防ぐには、まずは食生活に気をつけましょう。三度の食事をしっかり食べずに、間食に甘いものなどをだらだら食べることで、ほとんどの時間、口のなかは酸性になります。こうなるとむし歯になるリスクはグンと高まります。
就寝中は、唾液の分泌が減ることでむし歯が進行します。就寝前の飲食は、ミュータンス菌に栄養を与え、歯垢をつくるのを応援しているようなもの。夕食後、就寝前の飲食は、できる限り控えましょう。
★歯を強くする食品を多く摂る
カルシウムを多く含んだ乳製品や魚類をしっかり摂り、また、噛みごたえのある物をよく噛んで食べるようにします。菓子類は控えめにして、できるだけキシリトールなどの甘味料を使用したものを。
★きちんとした生活リズム
夜更かしなど、不規則・不摂生な生活が続くことで間食が増える、つい歯磨きを忘れてしまう、といったことが起こります。生活リズムを整えることはむし歯予防にもつながります。
★休息とストレス対策
忙しすぎる毎日は様々なストレスのもと。 ストレスによる寝不足や食欲の減退などは、免疫力を低下させます。身体の抵抗力が落ちることもむし歯の原因になります。
★禁煙
喫煙は歯を汚くするだけでなく、口中で増殖する細菌への抵抗力を弱めます。喫煙はむし歯のもと、といえるでしょう。
むし歯予防で効果を発揮するのは、やはり歯磨き。食事後と就寝前の歯磨きを習慣づけましょう。最近では、歯ブラシ以外にデンタルフロスや歯間ブラシなど、歯磨き効果を上げるものがいろいろあります。
また、定期的な歯科健診は、むし歯の悪化を防ぎます。ぜひ、家族で、かかりつけの歯科医を持つようにしてください。
−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2012年1月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載