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食中毒Q&A

食中毒は、ウイルス、細菌、化学物質、自然毒(きのこやフグの毒)で有害化した食品を摂取したときに生じる健康障害。嘔吐、腹痛、下痢、発熱を伴う急性胃腸炎、急性神経麻痺といった症状がおもに起こります。ちなみに、食あたりも食中毒に含まれます。さらには、1999年に施行された「感染症新法」によって感染症のなかでも飲食に起因する健康被害は、食中毒として取り扱うようになりました。

食中毒の原因として最も多いのは、ウイルスによるものです。なかでも近年、ノロウイルスによる被害が多く発生しています。ウイルスの次に原因となっているのは細菌。こちらは、細菌が繁殖しやすい夏場に多くの被害が発生しています。

Q1.食中毒を起こしやすい食品はありますか?その見分け方は?

A1.

食中毒の原因となるウイルスや細菌は、加熱に弱いという特徴があります。逆にいえば、加熱しないで食べる食品が食中毒の原因になりやすいといえるでしょう。

どの食品を食べると食中毒になるかは、実際のところ見分けがつきません。腐敗していない食品によっても、食中毒は起こるからです。食品に存在していた若干のウイルスや細菌が、身体に取り込まれた後、体内で繁殖して食中毒を起こす場合があります。食品の見た目で判断するのではなく、食中毒の発生が多い時期は、加熱した食品を食べるようにしましょう。生で食べる場合には、調理や食事のときの衛生に十分気をつけてください。食材をしっかり洗うことは必須です。また、ニュースで食中毒の原因として話題となっている食品があれば、摂取しないようにしましよう。

Q2.食中毒になりやすい人は?

A2.

日本は戦後、衛生管理に関して、高い水準を実現しました。その反面、食中毒の数は減っていません。日本人はウイルスや細菌に対して身体の抵抗力が低下しているのではないかと指摘する専門家もいます。

食中毒の原因を完全に無くすことはできません。生鮮食品を食べるとき、生食による料理を好む人は、そこには食中毒のリスクがあることを理解しておきましょう。疲れているときや体調の優れないときは、加熱していない食品の摂取を避けてください。とくに、子どもや高齢者は注意が必要です。

Q3.食中毒になったときは、どのように対処したらよいですか?

A3.

食中毒が疑われるときは、病医院の受診が必須です。下痢止めの薬や解熱鎮痛剤を自己判断で飲まないこと。下痢や嘔吐は、無理に抑えないようにしましょう。食中毒の原因を体内にとどめ、増殖して症状を悪化させるケースがあります。

家庭でできる応急処置としては、下痢や嘔吐による脱水症状を防ぐため、水分の補給をしてください。また、子どもや高齢者を寝かせるときは、嘔吐物が気管に詰まらないように、横向きにしましょう。

ご家族がいたり、職場で食中毒になった場合は、二次感染を防止することが大切です。食中毒を患った人の糞便や嘔吐物、それらを処理した物に直接触れないことはもちろんですが、症状が少しでもあれば、同じ食品を食べた人も病医院を受診しておくと安心です。

Q4.食中毒、今、注意したいことは?

A4.

昨年、焼肉チェーン店が提供していたユッケを食べ、集団食中毒が起きるという事件が発生しました。この食中毒は、「腸管出血性大腸菌」が原因となっていました。腸管出血性大腸菌としてよく知られているものはO157です。ちなみに、焼肉チェーン店の集団食中毒はO111が原因とされています。

腸管出血性大腸菌は、ベロ毒素と呼ばれる毒素を作ります。ベロ毒素は血管の内側に付着して、血管や細胞を破壊します。このため、腸の血管に付着すると出血を伴う腸炎を発症します。また、ベロ毒素は腸以外にも、腎臓に入って尿毒症を、脳で脳症を起こすこともあります。

腸管出血性大腸菌が食品に付着しているかどうかを見分けることは困難です。昨年の集団食中毒事件を受けて、食品衛生法が改正され、食肉処理に関する基準が厳しくなりました。この法律によって、どの程度、食中毒を防げるかは議論の分かれるところですが、まずは自衛策として、購入した食材がこうした法律の基準をきちんと満たしているかどうかを確認するようにしましよう。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2012年6月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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