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症状改善!パーキンソン病

パーキンソン病は、高齢化の影響もあって、この20年間で患者数が約2倍に増えています。ただこの数字からは、悪い面ばかりだけでなく、別の一面を読み取ることもできます。それは、診療技術・検査機器の発展により、比較的症状が軽い段階で、患者を的確に発見できるようになったという点です。発症原因の分からないパーキンソン病は、治療の難しい難病とされてきましたが、治療法・治療薬が進歩し、早期発見・治療により症状の進行を遅らせることができるようになりました。まずはパーキンソン病のことを知り、症状がある場合は、遠慮なく医師に相談することが大切です。

パーキンソン病とは?

脳内で、身体の運動を調節する働きをする神経伝達物質、「ドパミン」。パーキンソン病は、このドパミンの分泌量が減少することによって起こります。振戦(手足の震え)、筋固縮(筋肉を曲げ伸ばすとき関節に抵抗がある)、動作が緩慢になる、姿勢反射障害(倒れそうなときに身体のバランスを維持できない)、といった症状が特徴的です。ちなみに振戦は、1秒間に4〜6回ほどの振るえがあります。

パーキンソン病では、「ヤール重症度」という分類を使って、症状の進行度を表わします。この分類は、医療費の公費負担を申請するときにも必要です。3度以上と診断されると、特定疾患として治療費の自己負担の一部、または全額が公費で助成されます。

症状は、分類に従って、同じような速度で一方向に進むというわけではありません。早期に治療を開始すれば、進行を遅らせるだけでなく、症状を改善することも可能です。

治療薬について

ドパミンの減少には、脳神経細胞の減少が関わっています。脳神経細胞を増加させることはできないため、治療は、薬によってドパミンの量や働きを補いコントロールしていく、薬物療法がおもに取られます。

パーキンソン病治療で使われる薬のうち、中心となるのは次の二つです。

L−ドパ

ドパミンを増量する薬。治療効果が高く、即効性に優れている。

ドパミンアゴニスト

ドパミンを受け取る側の脳神経細胞を活性化することによって、ドパミンの働きを強める。効き目が緩やかで、比較的症状の軽い場合に用いられる。

その他にも症状によって、「MAO−B阻害薬」「COMT阻害薬」「抗コリン薬」といった薬を、L−ドパやドパミンアゴニストの補助薬として使用します。

薬は、処方された通りに服用しなければなりません。薬物療法は、長期間に及びます。自己判断で薬を増減すると、薬によるコントロールが混乱して、病状を悪化させる恐れがあります。 

運動療法でも症状改善

パーキンソン病では、様々な運動障害が起こるために、運動療法が欠かせません。日常生活に支障が出てくる前から、リハビリテーションを行なうことが効果的です。一度動きにくくなった筋肉を再度動かすのは、大きな困難が伴なうためです。

運動に関するリハビリテーションは、医師と連携した理学療法士の指導を受けるとよいでしょう。また、パーキンソン病の患者の多くは、言葉の発声に悩みをもっています。言葉に関するリハビリには、それを専門に扱う「言語聴覚士」という資格を得た人たちもいます。担当医・かかりつけ医に、ぜひ相談してください。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2012年7月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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