ホームクリニック

膵臓がんについて知ろう

発見されにくく、手術でも根治が難しいとされる。厄介ながんが「膵臓がん」です。膵臓がんが発見されたときには、もう、手遅れということが多くあります。膵臓がんとは、どんな病気でしょうか?

膵臓の働きと膵臓がん

膵臓は、みぞおちとへその間、やや左上にある臓器で、ブドウの房のような形をしています。 膵臓には二つの大きな働きがあり、消化酵素であるアミラーゼやリパーゼ、トリプシノーゲンを含む「膵液の外分泌」と、インスリンやグルカゴンといった「ホルモンの内分泌」を担っています。

膵臓がんの症状は、「食欲不振」「全身の倦台心感」「うつ」「腹痛・腰痛・背部痛」 「食欲不振・体重減少」「黄疸」です。しかし、いずれも膵臓がん独特のものではなく、他の疾患が原因でも起こり得るものばかり。しかもそれぞれ個人差があるうえ、必ずこうした症状がでるとは限りません。

さらに初期症状はほとんど自覚されず、体調の変化に気づいて診断を受けた時点で、もはや手術を受けることができない状態にまで進んでいるということが過半数です。

そんなことから、膵臓がんはポピュラーながんではありませんが、死亡率の高い難治がんです。

膵臓がんの原因

近年、急性膵炎や慢性膵炎など、膵臓の病気が増えています。これは生活習慣病の増加と同様で、食生活の欧米化によって肉や脂肪分の摂取が多くなったことが大きな原因となっているといいます。膵炎は、膵臓がんの危険因子であるとは必ずしもいえません。しかし、膵臓に負担がかかっていることは事実なので、やはり注意が必要です。

従来から、膵臓がんが糖尿病を併発するというケースも注目されています。糖尿病の早期発見から、膵臓がん発見への手がかりを得られるかもしれません。糖尿病の診断がなされた場合は、膵臓がんの検査を受けることが勧められています。

また、過度の飲酒や強いストレス、不規則な生活、肥満も、膵臓がんの発症リスクとなります。さらに糖尿病そのものも因子の一つといわれています。近親者に膵臓がんの人がいるかどうか(家族歴)も重要です。

そして喫煙。タバコはあらゆるがんの危険因子であると考えましょう。

 

膵臓がんの早期発見

膵臓がんの死亡者数が多い理由としては、初期の膵臓がんにはほとんど症状がなく、膵臓が身体の奥にあるため病気の早期発見が難しいからです。

さらに、がんは一般的に、大きくなると転移が起こりやすくなりますが、膵臓がんは、早期のうちから浸潤、遠隔転移しやすいことも理由の一つです。

これらの理由から、膵臓がんが発見されたときにはがんの進行が進み、手遅れ状態となってしまっている場合が多くあります。

最近では、超音波検査や内視鏡検査、ヘリカルCT、MRIなど、検査技術の進歩により、早期発見・早期治療が可能になってきています。それでも、こうした最先端の検査法をもってしてもなお、膵臓がんは、発見するのが難しいがんです。

膵臓がんの治療

膵臓がんの治療も他のがん同様、外科手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療です。

ところが厄介なことに、膨張性発育といって膨れ上がって大きくなるがんは、手術によって切除しやすいのですが、膵臓がんは、浸潤性発育(しみ込むように広がっていくこと)といって、あちこちに手足を伸ばすように広がっていきます。こういった発育をするがんは、他の臓器への浸潤状況によっては、切除手術を行なうことができない場合があります。

早期発見が難しく、手術での根治も難しい、となれば、膵臓がんにならないよう、普段から発生リスクとなるものを遠ざけることが大切になってきます。

「膵臓がんの原因」の項で述べた、タバコや過度の飲酒、ストレスと食生活の欧米化、こうしたものはすべて膵臓がんの発生リスクと考えて遠ざけるべきです。

最も厄介ながんといわれる膵臓がんにならないよう、日常生活から改善しましょう。体調の変化を感じたら、膵臓がんを疑ってみることも必要でしょう。必ず、早めにかかりつけ医を訪ねて相談してください。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2012年8月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

トップページへ