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節電でも、健康で快適に!

昨年起こった東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故をきっかけとして、日本人の節電意識は大いに高まりました。そうしたなかで、最も注目されたのがエアコンの使用について。ただ、節電のためにエアコンを使用しないという人も現れて、熱中症による健康被害が起こるといった事態も発生しました。

時間帯を意識した節電対策を

かつての日本家屋は、庭を広く取り、部屋の仕切りには取り外しが簡単な襖や障子が使われるといった、風通しを考慮したものがほとんどでした。夏場の暑さや湿気対策を中心に設計されていたのです。しかし現在は、敷地面積をいっぱいに使った家屋で、プライバシーや防犯、騒音といった問題から気密性を高めた建築設計が主流になっています。こうした居住空間でエアコンを使用しないと生命に及ぶ危険を伴なうてとがあります。

社会全体で節電が求められる理由は、「発電所の発電能力を超える電力使用を防止する」ことにあります。発電能力を超える電力使用があると発電所の稼動は停止し、大規模な停電が起こる可能性があるためです。

電力利用のピークは、真夏の平日であれば、企業活動が盛んな午後1時〜4時の間になります。この時間帯の電力使用量を減らす、そうした節電方法を考えてみましょう。

ある調査によると、エアコンの普及率は90%を超え、1世帯あたりの所有台数は平均すると3台になるそうです。

洗濯機のスイッチを入れて、テレビを観ながら掃除機をかける。別の部屋では、夏休み中の子どもがテレビゲームを楽しみながら携帯電話の充電をしている−これは、日常的に見られる光景です。このなかに、節電の鍵があります。

エアコンを複数使用しないように、日中は、できるだけ家族が同じ部屋で過ごすようにする。洗濯や掃除、アイロンがけは、午前中に済ませておく。携帯の充電は夜間に行なう、など。

複数あるエアコンの内、1台を止める。これは大きな節電になります。また、エアコン以外の電化製品は、電力利用がピークになる時間帯を外して使用することも、重要な節電対策です。

エアコン病は「自律神経失調症」

エアコンを使用すると体調が悪くなるから、使用を控えているという人もいます。その原因の多くは、自律神経の働きが悪くなることによって起こります。自律神経失調症が心配なら、かかりつけ医に相談しましょう。

また、エアコンをまったく使用しないのではなく、エアコンの設置場所や使い方を見直すことで、体調の問題が解決するかもしれません。

室内と外気の温度差が5℃以上違うなかで、出入りを繰り返すと、自律神経の働きに狂いが生じ、失調しやすくなります。エアコンの設定温度だけに注意するのではなく、室温を室温計で確認してください。

エアコンの冷風を直接身体に当て続けていると、発汗作用により、気温差以上の影響を身体に及ぼす場合があります。エアコンの風が直接当たらないような工夫も必要です。

湿度によっても熱中症は起こる

「エアコンの設定温度は28℃に」と、家電メーカーを含め推奨しています。一つ注意しなければならないことは、「湿度」です。

室温が28℃で、湿度が50〜60%であれば快適に過ごせます。しかし、湿度が75%を超えていると、不快感があるだけでなく、室内で熱中症になる危険があります。これは、湿度によって発汗作用が阻害されるためです。

エアコンを効率的に使うためには、湿度が50%〜60%になるように、始動時は設定湿度を下げて強冷房を行なってください。湿度が下がってから、設定温度を28℃にしましょう。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2012年8月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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