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健康診断が鍵―不整脈の早期発見

不整脈には、それほど心配のいらない一時的なものから、突然死を招くような危険なものまで、様々なものがありますが、正しい治療を行なうことで、普通に日常生活を送ることができます。

そのためにも重要なことは、「早期発見」です。

不整脈とその症状

私たちの心臓は、生まれてからずっと、一刻も休まずに脈打っています。そのおかげで私たちは生きていくことができます。

正常な場合、平常時の脈拍は一分間におよそ60回から80回ほど。1分間に100回程度までは正常範囲とされていますが、脈拍数がそれより多い場合や、50回以下など極端に少ない場合は、「不整脈」と考えられます。

何らかの原因で不整脈になると、心臓は規則正しい収縮を行なえなくなり、脈が速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)、脈が飛んでしまったりします。また、リズムがでたらめになる心房細動、心室細動ということもあります。頻脈には発作性頻拍症があり、徐脈には房室ブロック、洞不全症候群があります。時々脈が飛んでしまうものは期外収縮と呼ばれます。

不整脈により現れる症状としては、動悸、息切れ、胸の不快感(苦しく感じたり、つまる感じがするなど)、めまいや立ちくらみ、疲労感、吐き気、さらに場合によっては意識を失うこともあります。

ただし、不整脈が軽い場合、多くの人はほとんど自覚症状がありません。

不整脈の原因と治療

心臓は、一定の電気信号によって、定期的な正しい鼓動を繰り返しますが、この電気信号が心臓にうまく伝わらないと不整脈が起こります。

若い人に比べ、高齢者は不整脈になりやすく、高血圧の人、心臓に病気のある人、さらに飲酒・喫煙の習慣のある人に症状が出やすい病気です。また、精神的ストレスが原因になることもあります。

▼心室頻拍・心室細動

頻脈性不整脈のなかで怖いのは、「心室頻拍」や「心室細動」です。「心室」は、血液を全身に送り出す働きをしているポンプの役割をしている部屋が痙攣を起こしてしまうもの。当然ですが、血液の循環がスムーズにできません。

軽度の心室頻拍なら血圧が下がる程度ですが、ひどくなると失神を起こすこともあります。また心室細動になると心停止の状態に陥り、この場合、数分間放置すれば死に至ります。

これらは致死性不整脈ともよばれ、突然死の原因となります。患者にその危険性があるとみなされると、植え込み型除細動器(ICD)を身体に植え込む治療を行なうことがあります。

▼心房細動・心房粗動

「心房細動」は心房全体からの電気信号がバラバラに発生している状態で、健康な人でもお酒を飲んだ翌朝や、ストレスによって起こることがあります。また、加齢とともに起こりやすくなります。心房細動は、激しい動悸や息切れの原因となるほか、収縮できない心房の中では血液がよどみ、左心房の中に血栓(血の固まり)ができやすくなります。その血栓が血液にのって脳や全身の血管に詰まってしまい血流の妨げになると、脳梗塞などの原因にもなります。脳梗塞は生命の危険を伴なう病気で、命が助かったとしても手足の麻痺など、後遺症が残るケースが多く見られます。

「心房粗動」は頻脈性の不整脈で、ほとんどの場合、器質的な心臓病が原因で起こります。

心房粗動は、心室細動に移行する恐れがあるため、早急に治療する必要があります。

 

 

不整脈と健康診断

こうした不整脈は重症化すると突然死の危険性が増します。また、自覚症状が強く、日常生活に大きな支障がある場合も、早めの治療対象となります。

そんな不整脈の早期発見には、定期的な健康診断が効果を発揮します。会社ではもちろん、自治体の健診など、機会があれば必ず受けて、不整脈に限らず、病気の早期発見に努めましょう。これは健康な暮らしを維持するうえで、とても大切なことです。

心電図検査で不整脈、あるいは心房細動と指摘されたら、自覚症状の有無にかかわらず、かかりつけ医に相談、あるいは「循環器内科」を受診しましょう。

心電図検査は、通常の健診では5〜10秒程度しか記録されないため、より精密な検査が必要となるからです。

そして病的な不整脈が見つかったり、異常な心電図波形があった場合は、専門医による治療を行なうことが必要となります。

それが一刻も早いほうがよいのは、いうまでもありません。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2012年9月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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