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PMS(月経前症候群)ってなに?

月経のある女性であれば、ほとんどの人が経験したことがある――それが、PMS(月経前症候群)です。

PMSを患っていて辛いのは、症状はもちろんですが、「周囲の無理解」という声も多く聞かれます。これは、男性と女性の間だけでなく、女性同士でも分かり合えないケースがあります。

PMSとはなんでしょうか?PMDD(月経前不快気分障害)とともに取り上げます。

PMSとは

PMS(月経前症候群)は、月経に関連して周期的に身体や精神に不調をきたすことをいいます。症状は、月経の10〜14日前から始まり、排卵後の黄体ホルモンが分泌される周期と重なっていて、月経開始とともに消えます。

身体に起きる症状は、むくみや便秘、腹痛、頭痛、肩こり、乳房の張りといった代表的なものから、不眠(あるいは過眠)、疲労感、記憶力の低下といったものまで、200とも300ともいわれるほど多岐にわたります。精神症状としては、イライラや憂欝感といったかたちで現れることも多くあります。

PMSの対処法

PMSの原因ははっきりと断定できませんが、「黄体ホルモンの影響で身体のバランス」が崩れることが要因と考えられます。PMSの該当期間は心身ともにバランスが崩れやすいことを自覚することが大切です。生活習慣や食生活を改善し、ストレス対策を行ない、できるだけ身心のバランスを保つようにしましょう。運動習慣を取り入れ、体質改善に努める方法も有効です。

PMSを病医院で治療する場合、症状が比較的軽いケースであれば、それぞれの症状に応じた対症療法が行なわれます。無理な忍耐を自分に強いるのは禁物です。柔軟に対応していきましょう。

日常生活に大きく影響するほど、PMSの症状が強くでる人の場合はどうでしょうか?

こうした場合、低用量ピルによる治療が有効な選択肢です。

低用量ピルは、避妊薬としても用いられる女性ホルモン剤で、身体のホルモンバランスを妊娠時に近い状態にして排卵を抑制する薬です。低用量ピルの普及率は日本では低いのですが、例えばドイツでは半数を超える女性が低用量ピルを様々な理由で使用しています。低用量ピルは、医師の指示に従って服用すれば安全性の高い薬といえます。

PMSの症状が重い人の多くに、過度のストレスを抱えていることや、体質になんらかの問題がある傾向がみられます。重度のPMSに対処していくには、これらの問題の解消に、より積極的に取り組んでいく必要もあります。

PMDD(月経前不快気分障害)について

PMDD(月経前不快気分障害)は、PMSと同じように、月経に関連して症状が現れます。

精神的な不調が非常に強いのが特徴で、日常生活に支障を及ぼすほどの強い抑うつ感や不安感、怒りの感情がみられ、自殺しようとする行為や自殺願望がみられることもあります。このため、アメリカではうつ病の一種とみなされています。

PMDDの治療には、抗うつ薬・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が、使われることが多く、服用方法としては、排卵から月経までの黄体期に服用する方法が用いられます。


PMS、PMDDの症状は多岐に及び、症状の程度も様々です。どのような治療がよいか、どの診療科目を受診するか迷うところです。婦人科の受診が基本となりますが、かかりつけの医師に相談して決めるのもよいでしょう。くれぐれも、無理してがまんをすることのないようにしてください。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2013年3月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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