介護の知恵袋

認知症の家族との接し方

認知症には、物忘れ(記憶障害)や理解力・判断力の障害などの「中核症状」がありますが、「行動・心理症状」として、うつ状態になったり、幻覚・妄想や徘徊が見られるようになります。これらはとくに介護する人を悩ませます。

認知症の行動・心理症状とは?

脳細胞が死んでしまうことにより、脳の機能が失われる認知症の症状には、 「記憶障害」や、時間や季節、場所の感覚が薄れ る「見当識障害」「理解力・判断力の障害」 が現われます。これらは「中核症状」とよばれ、周囲で起こっている現実の正しい認識ができなくなります。

また、環境や人間関係、本来持っている 性格から、「不安・焦燥」、「うつ状態」 や「幻覚・妄想」といった症状が起こってきたりします。これらを「行動・心理症状」 (あるいは「周辺症状」)とよびます。 こうした症状はとくに、家族や周囲の介護者を悩ませるものですが、何といっても最もつらいのは患者である本人だということを、周囲は理解しましょう。

周囲が対応の仕方を工夫する

本人は過去と現在をしっかり関連づけることができません。「さっきも同じことを 言ったわよ!」「昨日も同じことをしたじ ゃないか!」と言われても、本人は思い出すことができないので、注意されてもなぜ注意されるのかが理解できません。なおかつ保たれている感情は、注意する人を「困 っている自分を叱る怖い人」と認識し、恐怖感・不快感だけが残ります。こうしたことの繰り返しは「行動・心理症状」を悪化させることにもなります。

同じことをくり返す場合は、おだやかに対応し、時には一緒になって探し物を手伝ったりしてあげましょう。そのときのことを忘れてしまっても本人の心の中には、「やさしくしてもらった」という感情が残ります。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2013年4月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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