夏バテ 一掃その対策を先取り


 「甲状腺の病気」と言っても、聞き慣れない方が多いかもしれませんが、これはホルモン分泌に関係した病気では、糖尿病に次いで多いものです。特に20〜40歳代の女性に多くみられます。比較的無症状で経過するため見過ごしたり、他の病気に間違われたりすることがあります。

機能の亢進・低下・腫瘍
新生児は身長発育に障害も


〔新陳代謝を司る〕
 喉仏の下あたりにあって、蝶が羽を広げたような形をしているのが甲状腺です。甲状腺ホルモンと呼ばれる、身体の新陳代謝を促すホルモンが分泌されます。血液中のヨードが取り込まれて造られるホルモンで、細胞の発育・成長に欠かすことができません。胎児や新生児の時に不足すると知能・精神および身長発育が障害を受けるクレチン病になりますし、大人の場合は代謝の変調から体温のバランスを崩したり、情動面にも影響が現れたりします。

〔病気の種類と原因〕
 甲状腺の病気は甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、腫瘍の3種に大別されます。
 @バセドウ病に代表される甲状腺機能亢進症は甲状腺の働きが高まりホルモン分泌が多くなって起こり、新陳代謝がより活発になって身体がほてる、汗が多く出る、追い立てられるような気分になる、といった症状が現れます。この症状が更年期障害などに似ているため、誤った診断を受けるケースも少なくありません。
 A甲状腺の機能が弱まる機能低下症では、ホルモン分泌が減少し新陳代謝が低下、身体の冷えや皮膚の乾燥、気力減退、記憶力・思考力の低下、うとうとする、などの症状が現れます。受け答えがゆっくりとなり、うつ病や認知症と間違われます。代表的なものに橋本病があります。
 B甲状腺に出来る腫瘍には良性と悪性があります。しかし腫瘍は甲状腺機能には影響しないため、ホルモンのアンバランスや精神状態に大きな変化が起きることはあまりありません。

〔検査の方法〕
 甲状腺機能に異常があるかどうかは血液検査を行えば分かります。検査はトリヨードサイロニン(T3)と、サイロキシン(T4)と呼ばれる2種類の甲状腺ホルモン、そして脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)を検査します。TSHはT3やT4の分泌量をコントロールするホルモンで、T3やT4の分泌量がその人にとって高すぎたり低すぎたりすると、TSHの値は異常を示します。甲状腺の病気のふるい分けにTSHはとても有効です。

自宅できでる自己検診
 ・疲れやすい、だるい
 ・のぼせる・ほてる
 ・冷える
 ・脈が速い・動悸・息切れ
 ・脈が遅い
 ・むくむ
 ・意欲がでない・動作が鈍い
 ・記憶力が低下
 ・貧血
 ・肝機能障害

これらの症状は、更年期障害、自律神経失調症、うつ病、認知症、肝臓病などの甲状腺以外の病気でもよくみられます。原因を特定するために、自己診断をせず、病医院を受診するようにしましょう。
 

トップページへ戻る