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◎40年前は“役立たず” |
食物繊維は人の消化酵素では消化されない食物成分を纏めて呼ぶ名称で、主に野菜・果物・海藻など植物性食品に含まれています。水に溶けない不溶性と、溶ける水溶性に分類され働きが違います。不溶性はジャガイモ、ゴボウなど根菜や穀類に多く、腸内で膨らみ腸の働きを活発にして排便を促すので、便が長く腸内に留まるのを防ぎ有害物質の吸収を抑えます。水溶性は糖分の吸収速度を緩やかにし食後の血糖値の急激な上昇を抑えます。ワカメやコンブに含まれるアルギン酸は食塩のナトリウムと結びついて便の中に排出され、血圧の上昇の抑制や血液中のコレステロールを低下させます。つまり食物繊維は高血圧や高脂血症、糖尿病など生活習慣病の予防に大きな効果があるのです。兵庫県立大学の辻啓介教授は「40年ほど前までは食物繊維は栄養学的には全く役立たず、とされていたが、その後に重要性が認められた」と語っており、辻教授は20年ほど前に「食物繊維は第6の栄養素」と提唱しています。
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◎老人、子どもこそ摂取を |
辻先生は「食物繊維の効果はゆっくり表れる」と言います。生活習慣病の予防には子供の頃から食物繊維を多く含む食品を摂るのが大切になります。また「高齢者にも多く摂って欲しい」と呼びかけています。介護関係者から「便秘の老人が多く、下剤を使っている」との訴えを聞いたためです。バナナ、カボチャなど軟らかい物にも食物繊維は多く含まれていて、刻んでも磨り潰しても効果が出ます。
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◎1日の目安は男性20g、女性17〜18g |
厚生労働省の2005年版「日本人の食事摂取基準」では、1日の食物繊維の摂取目標は男性20g、女性17〜18g(年齢による)と定めています。しかし国民栄養調査では平均15g。20歳〜30歳の若い人や都市部の人は12g前後と少なくなっています。
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