知っていますか
夏バテ 一掃
 
その対策を先取り
心と身体の両面から治療
 
 「身体の調子が悪くて検査を受けたが、異常は無かった」とか「病気ではないが、何となく体調がすぐれない」という時は、自律神経のバランスが乱れているのかもしれません。身体の不調の陰に、心の問題が隠れていることも多いのです。今月は「自律神経失調症」を取り上げてみました。
 
〔自律神経の働き〕
 運動をすると心拍数が増え、食事をすると胃腸が活動する、といったことは自分で意識しなくても身体は自動的にいろいろな機能を調節してくれています。これが自律神経の働きです。自律神経は全身に張りめぐらされ、その作用は血液循環、消化・吸収、呼吸、代謝、体温調節、生殖機能、精神活動、免疫、ホルモンの分泌など多岐にわたっています。
 自律神経は交感神経と副交感神経から成っています。交感神経は「活動するとき」に、副交感神経は「休息するとき」に主に作用します。その中枢は脳の視床下部にあり、ここから命令が出されます。指令の内容は身体の内部環境や外部からの刺激に対応して調節されています。また感情などの精神活動とも密接に関連しており、自律神経は心と身体をつなぐ架け橋と言えます。
 
〔さまざまな症状〕
自律神経失調症の症状
全身症状
疲労感、睡眠障害、ほてり、冷え
など 
精神症状
イライラ、憂うつ、無気力、集中力の低下
など
各器官の症状
頭痛、めまい、胃痛、食欲不振、便秘、下痢、息切れ、目の疲れ、耳鳴り、口の渇き、動悸、胸痛、頻尿、月経不順、手足のしびれ、肩こり、異常発汗
など
 交感神経と副交感神経のバランスが乱れた状態を「自律神経失調症」といいます。身体に不調を感じるものの原因となる病気がみつからない、いわゆる「不定愁訴」が現れるようになります。自律神経は身体の様々な器官に影響を及ぼしているため、その症状も多様で人により異なります。幾つもの症状が重なることもあります。特定の器官に集中して症状が出る場合は別の病名で呼ばれることもあります。便通異常が続く過敏性腸症候群などは自律神経失調症の一種と考えられています。
 
〔病気の背景には〕
 自律神経失調症は様々な要因が複雑に絡み合って発症します。内因性の原因としては、ストレスへの抵抗力が弱い人ほど罹りやすい、と言えます。喜怒哀楽の感情を常に抑制していたり、気持ちの切り替えが苦手で環境になかなか適応出来ない人は、自律神経のバランスが乱れ易いのです。反対に自分を抑えて頑張ることで環境に適応する人もストレスを抱え易く、女性も性ホルモンが分泌されるリズムが複雑なため、バランスが乱れ易いのです。外因性の原因では対人関係や仕事・家庭問題など精神的ストレス、不規則生活による身体的ストレス、季節の変化や自然環境によるストレスなどがあります。
 
〔治療は心身両面から〕
 自律神経失調症の治療は心身両面からアプローチしていくのが特徴です。原因が様々なので治療法も多くの種類があり、一人ひとりの状態や希望を考えて行います。主な治療法としては@薬物療法=自律神経の機能を調整する薬や抗不安薬などを用いますA理学療法=マッサージや指圧、ストレッチなどを行い肩こりなどの症状を緩和させますB自律訓練法=緊張や興奮をほぐし、身体をリラックスさせる方法です。始めは指導者に習いましょうC心理療法=カウンセリングなどの方法を通して自分自身のことや原因となっている事柄、心理的背景を理解します。まずは自分の問題に自分で気がつくことが重要で、治療はその手助けをするのです。
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