視力低下と目の病気
 
緑内障や白内障
高齢者に多い黄斑変性症
 
 目は人が起きている間、常に使われています。ですから゛虫が入った゛゛目がチカチカする゛などの異常はすぐ気がつきます。でも、見るという機能にはあまり支障がない「視力低下」には気がつく人は、意外に少ないのです。今月は目の異常に対する対処法と、視力低下がもたらす病気について、です。
 
◎目の異常を感じたら
 目は顔の中で露出していて異物や細菌が入りやすく、しかも敏感なため異常が起こりやすい器官です。中でも「急激に視力が低下した」「視野が欠けた」といった症状は特に危険な状態ですから、すぐ眼科を受診してください。自己判断で市販の目薬などを用いるのはよくありません。何かしらの異常があったら眼科医に相談しましょう。
 
◎視力低下を伴う病気
 視力低下を伴う病気はいろんな種類があり、失明に到る確率の高い病気もあります。早く対処すれば失明を回避できる病気もあります。
《緑内障》
 眼球は房水と呼ばれる液体で満たされています。房水は眼球の硬さを一定に保つ役割りのほか、水晶体や角膜に栄養を送る、という役割も担っています。通常は毛様体で作りだされた房水は図2のように流れ、シュレム管を通って眼球の外に出ます。しかし虹彩や隅角、シュレム管などの異常で房水が眼球の外に出ないで内部に溜まってしまうと、眼圧が上がり神経が圧迫されてしまうことがあります。これが緑内障です。
 症状としては「視野が狭くなる」「視野が欠除する」などの視野異常、視力低下などがあり、悪化すると失明することがあります。でも、眼圧を下げれば治癒できます。ただ、緑内障には幾つかの種類があり治療法の種類によって異なります。危険な病気なのに気がつかずに放置してしまい視力の低下が進んだり、視野が狭くなってから医師を訪ねる人が多いのが現状です。少しでも不便を感じたら専門医に相談しましょう。
《白内障》
 眼球にある水晶体が濁って視力障害を起こすのが白内障です。水晶体は光の屈折を行う器官でカメラのレンズの役割です。発症の初期はあまり症状が無く、明るい所でまぶしさを感じる程度ですが、症状が進むと物が見えにくくなり、ひどいかすみ目の状態になりなす。白内障にも幾つかの種類がありますが、治療のほとんどは手術で、水晶体を取り替え眼内レンズを入れます。
《黄斑変性症》
 物を見るには網膜でピントを合わせますが、この網膜の中心にあって重要な働きをしているのが黄斑(おうはん)です。これが栄養不足などで萎縮したり(萎縮性)、黄斑の裏側の脈絡膜にある血管に異常が起こって圧迫されて変形してしまう(滲出性)のが黄斑変性症です。近年、滲出性の黄斑変性症が高齢者に多く見られるようになりました。症状は「物がゆがんでみえる」「視野の中心が黒くぼやける」「視力の低下」などがあります。
 治療は滲出性の場合は手術が中心です。萎縮性は治療法が確立されていません。とにかく放置していると失明する可能性が高くなりますから注意が必要です。
◎見過ごさないことが大事
 視力の低下には、加齢によるものもありますが、病気のサインになっている場合もあります。見過ごしてしまうと、五感の一つを失うことになりかねません。少しでも異常を感じたら、専門医を受診してください。
 また、視力低下は目の異常だけとは限りません。糖尿病や白血病、脳の異常やストレスからくる場合もあります。不調を感じたら、かかりつけ医に相談してください。
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