解消のための肥満分析学
原因を改善し解消を
でも「1日2食」は逆効果です
 
 

 肥満とは体内の脂肪組織(体脂肪)が過剰に増えた状態をいいます。「なぜ脂肪が増えるのか」、「肥満を解消する手だてはあるのか」、を探ってみましょう。


◇脂肪細胞が出来る仕組み
 人間は3大栄養素のタンパク質、脂質、炭水化物からエネルギー(熱量)を得ています。これを体内で燃焼させて活動しています。このとき摂取したエネルギーより燃焼したエネルギーが少ないと、余剰エネルギーが出て体内で中性脂肪に変えられ内臓や血液、皮下に蓄えられます。これが体脂肪です。
 このシステムは人類が生き残る上で大変に重要なものでした。人類の歴史はほとんどが飢餓の時代でした。そのため、生き延びるには少しの食料を効率よくエネルギー(脂肪)として体内に蓄えられる身体になったのです。しかし現代の日本は食べ物が豊富にあり、自動車などの普及で身体を動かす機会も減りました。つまり、エネルギーを摂取しやすく消費しにくい環境になったため、飢餓を生き抜く仕組みが体脂肪を増やす要因となって肥満が増えたのです。
◇肥満の原因と測定方法
 肥満には「原発性肥満」と「二次性肥満」の2タイプがあり、95%が原発性肥満です。その原因には
@過食
A摂食パターンの異常
B遺伝
C運動不足
D熱生産機能の異常

 の5つが上げられ(表1)肥満を招きます。肥満かどうかを調べるには体脂肪を測るのがもっとも有効ですが、BMI(体格指数)を利用するのが一般的です。(表2)
(表1)
〔原発性肥満〕
@過食
食事の量が多い・間食の習慣化・ストレス発散食、など
A摂食パターンの異常
夕食の量が極端に多い・朝食を食べない、など
B遺伝
遺伝子的要因の場合もあるが、家庭環境のほうが重要
C運動不足
エネルギー消費の低下と、燃焼・消費能力の低下を招く
D熱生産機能の異常
エネルギー消費に関わる細胞や遺伝子の異常
〔二次性肥満〕
何らかの疾患や薬剤の副作用などが原因。減量よりも肥満の原因となった疾患の治療を優先
(表2)
体脂肪率 BMI(体格指数)
正常 肥満
男性 15〜20 25以上
正常 肥満
女性 20〜25 30以上
BMI=体重÷(身長)2
     (kg)   (m)
〈BMIが25以上で肥満〉
BMIが正常値で、体脂肪率の計測値が肥満である場合、内臓に脂肪が多い、かくれ肥満といえます
※体脂肪は年齢によって標準値が異なります。上記数値は成人男女の一般的な数値です。
◇解消するには
 基本的には、肥満は予防が第一です。特に中高年になると加齢により消費するエネルギーが減少してしまうので「脂質や糖質の摂取を抑える」「軽い運動をする」などの予防が大切になります。表2の数値などからみて、既に肥満だったり、“隠れ肥満”だった場合は解消しておくことです。
 肥満解消で重要なのが「肥満になる原因の改善」です。遺伝子や細胞レベルの熱生産機能障害は改善が難しいですが、その他の項目(表1)を見直すことで解消は十分期待できます。中でも「過食」と「摂食パターンの異常」では大食いや早食いを止め、よく噛んで食べること、また間食は控えて脂質・糖質の摂り過ぎに注意することがポイントです。ただし、無理して急激に摂取量を減らす必要は無く、1日3食はキチンと食べて下さい。1日2食にすると逆効果になります。「遺伝」としては、太りやすくなる遺伝子は発見されていますが、それ以上に重要なのは「家庭環境」です。脂質の多い食事がよく出されている家庭や、家族全員が運動ぎらいの家庭では家族みんなが太りやすくなります。ですから食事の見直しや運動不足の改善で肥満を克服出来る場合が多いのです。「運動不足」は消費するエネルギーが低下するだけでなく、エネルギーを燃焼する能力が落ちて脂肪を蓄えやすくなります。日常生活の中で出来る軽い運動から始めてみましょう。
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