血液の病気を知ろう(1)
最も多い鉄欠乏症貧血
 全身をくまなく巡っている血液は血球(赤血球、白血球、血小板)と血漿(液体部分)から成っています。この血液にはどのような病気があるのか、調べてみましょう。
〔赤血球と貧血〕
 赤血球に含まれる成分のヘモグロビンは酸素を全身に供給する働きがあります。つまり、肺で結合させた酸素を運び、代わりに二酸化炭素を回収してきます。この赤血球の数、または赤血球に含まれるヘモグロビンが減少して身体が酸素不足となった状態が貧血です。疲れやすい・立ちくらみがする・動悸や息切れがする・顔が青白くなる、などの症状が出ます。普通はゆっくり進行するため症状をハッキリ自覚しにくく、調子が悪いのは年齢や体質のせいと思い込んでしまいがちです。定期的な血液検査が大切です。
 中でも最も頻度が高い病気が鉄欠乏症貧血です。へモグロビンの成分の鉄分が慢性的に不足するために起こります。鉄分の摂取不足と吸収不足が原因で、栄養バランスの良い、鉄分を多く含む食事を心掛け、さらには鉄剤の服用で治療します。そのほか、葉酸やビタミンB12が不足すると巨赤芽球性貧血(悪性貧血)となります。胃腸に病変があって栄養を吸収出来ない場合は注射で補給します。また赤血球の形質異常などが原因で赤血球が本来の寿命より早く壊れてしまい、生産が追いつかない状態の溶血性貧血もあります。骨髄に病変があると、血液成分が正常に生産されず、赤血球も不足して貧血になります。これを再生不良性貧血といいます。
〔血小板と出血要因〕
 普通は出血しても、しばらくすると自然に止血しますね。しかし止血作用を担う血小板や血管、血漿に含まれる血液凝固因子の何らかの異常があると出血しやすい状態(出血素因)となります。鼻や歯肉から出血しやすく、また皮下組織などに内出血を起こして点状・斑状に出血斑(紫斑)が現れます。止血作用の主役である血小板が少なくなると出血しやすくなります。特発性血小板減少性紫斑病は免疫の異常によって血小板が破壊されるために起こる、と考えられています。アレルギーにより血管に炎症が生じて起こるヘノッホ・シェーライン紫斑病は子供に多くみられます。また血小板の形に異常があったり、量が多すぎても出血しやすくなります。血漿中の血液凝固因子が欠乏しているために出血しやすくなる病気(血友病)もあります。
 
鉄剤食事
〔鉄分を含む食物〕
 動物性タンパク質に含まれる鉄分は吸収がよい。吸収を助けるビタミンCも一緒に摂ると効果的です。極端なダイエットや偏食はしないことです。鉄分を多く含む食べ物はレバー、カツオなどの魚類、しじみ、ひじき、焼きのり、大豆、小松菜、そば、などがあります。
 
〔貧血を治療するためには〕
 病気となれば、食事で摂れる鉄分は僅かなので治療には鉄剤の服用が欠かせません。血液中の鉄分が増えると症状は改善されますが、肝臓、脾臓、骨髄に貯えられる貯蔵鉄が回復するまでは、医師の指示に従って服用を続けましょう。
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