気になる汗のはなし
命を守る役割担う 適度に汗を流すのが肝心
 猛暑日が続いた今年の真夏。夏には汗は付き物です。とかく「不快」「臭い」など嫌われ者にされる「汗」ですが、私たちの身体にとっては欠かせない重要な生理現象なのです。そこで「汗」のことをもっと知って、上手な「汗対策」をしましょう。
☆その役割
 汗の最も重要な役割は体温の調節機能です。気温の上昇やスポーツ、カゼの発熱などで体温が高くなった時、発汗が起こります。汗の水分が皮膚の上で蒸発するときに熱が奪われ(気化熱)、それによって体温を下げて常に36度5分前後の平熱に保つことが出来るのです。いわば、汗は皮膚の表面に撒いてやった“打ち水”のように機能しているのです。恒温動物である人間は体温を常に一定にしておかないと、全ての機能は正常に働きません。もし、汗をかかない、としたら熱は身体の中に籠もってしまい、人間は死に至ることになるのです。このように、汗は私たちの身体にとってとても重要な役目を果たしているのです。
★「良い汗」と「悪い汗」
 汗は血液から作られていることはご存じでしょうか。体温が上昇すると発汗の準備のため、血液からミネラル分と水分が汗腺に取り込まれます。この時、身体にとって大切なミネラル分は殆どが血液中に再吸収されて水分だけが皮膚の表面から出てきます。これが本来の汗であり、いわば「良い汗」と言えるものです。ところが、発汗を促す交感神経や汗腺の機能が鈍っていると、ミネラル分の再吸収が行われず、水分と一緒に体外へ出てしまいます。これが「悪い汗」で、普段あまり汗をかかない生活をしている人に多くみられる現象です。ミネラルは身体の生理機能を円滑にする大切な栄養素です。それが「悪い汗」とともに体外へ流出し、不足状態になってしまうと内臓の機能低下など、様々な体調不良をもたらします。いわゆる“夏バテ”はこうしたことが原因ではないか、とも考えられています。
 では「良い汗」をかくためにはどうしたらよいか。よく「人間の身体は使わないと錆びる」と言いますが、発汗も同じことが言えます。ずばり!「適度に汗を流すことを心掛ける」です。いつもエアコンの中で運動も全くしない生活環境では自律神経も狂い、滅多に使われない汗腺も機能不全を起こしてしまいます。体温の上昇とともに自然に汗をかく生活をすることが「悪い汗」を防ぐ手だてなのです。
夏だから心掛けるポイント
◆入浴はシャワーだけでなく浴槽につかる。半身浴がお勧め
◆ウォーキングなど負担にならない運動を続ける
◆1日1回はお茶、コーヒーなど熱いものを飲む
◆エアコンの設定温度は外気温よりマイナス5度以内に設定
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