50歳以上の7割が保菌
ピロリ菌を知ろう
胃がんのリスク高い 薬と乳酸菌の併用で除く
 我が国はいまだに先進国の中では胃がんによる死亡率が高いままです。塩分の摂り過ぎや喫煙なども原因ですが、胃に住み着いているピロリ菌も原因に挙げられています。50歳以上では7割近くの人がピロリ菌に感染しています。ピロリ菌感染者は感染していない人より胃がんのリスクが約5倍も高くなっています。ピロリ菌の防衛策は?
(毎日新聞の特集記事から)
★ピロリ菌とは
正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」で、らせん状によじれた棒状の細菌です。胃の粘膜に住み酵素で尿素を分解してアンモニアを作り出し、胃酸を中和させて生きています。主な感染源は飲み物、食べ物。
ヘリコバクター・ピロリ菌(毎日新聞紙面より)
 
★胃粘膜が炎症
ピロリ菌が胃に住み着くと、胃の粘膜に炎症が生じ、その炎症が長く続くと粘膜が萎縮して、やがて胃潰瘍や胃がんに繋がります。東海大学の高木敦司教授によりますと、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者さんの9割近くでピロリ菌が見つかる、といいます。ピロリ菌に感染したからと言って、全ての人が胃潰瘍になるわけではありませんが、ピロリ菌を取り除く治療を行うと胃潰瘍の再発を防げることも事実です。
 
★発症の仕組み
最近になってピロリ菌が胃潰瘍や胃がんなどを引き起こすメカニズムが分かってきました。北海道大学の畠山昌則教授らの研究によりますと、ピロリ菌はCag(キャグ)Aというタンパク質を胃粘膜の上皮細胞に打ち込みます。この結果、上皮細胞を結合させている接着作用が弱まり、上皮細胞が剥がれ落ちて胃潰瘍などを引き起こす、といわれます。こうしたことから、高木教授は「ピロリ菌は胃がんや胃潰瘍の大きな危険因子だ、と言える」と話しています。もちろん、ピロリ菌だけが胃がんなどの原因ではなく、胃がんの予防には@喫煙を止めるA塩分の摂り過ぎを控えるB野菜・果物を多く食べるなど、バランスよい食事をするC運動をする、などライフスタイルが基本的に重要です。でも専門家は「ピロリ菌を取り除くことも予防策になる」との見方が強いようです。
 
★除菌はどうするの
保険の適用になっている標準的な除菌方法は抗生物質や胃酸の分泌を抑える薬など3つの薬剤の併用です。これで7割から8割の人は成功しますが、問題点はピロリ菌の約3割が3剤の1つである抗生物質のクラリスロマイシンに耐性を持っていることです。このまま抗生物質を使い続けると薬の効かない耐性菌が増えるため、むやみに抗生物質は使えません。こんな場合にはプロバイオティクスを利用します。腸内の善玉菌を増やすなど、細菌バランスを整える乳酸菌などの微生物のことで、LG21乳酸菌などが使われます。
  トップページへ戻る