南東北 2007年11月

 
トピック
6氏が特別講演 がんの第4の治療法を解説”
温熱療法で市民公開講座
 9月22日(土)郡山市民文化センターで「がん治療最前線〜ハイパーサーミア(温熱治療)の効果」をテーマにした健康フォーラムが開かれました。総合南東北病院の渡邉一夫理事長のあいさつや照沼裕先生(10月号で紹介)、大西武雄日本ハイパーサーミア学会理事長ら6人による特別講演とパネルディスカッションが行われました。そこで“がんの第4の治療法”とされる温熱療法をめぐる各講師の発言内容を連載で掲載します。

(毎日新聞10月20日付け紙面より)
最善の治療でがん克服する
渡邉理事長あいさつ

 フォーラムでは、最初に渡邉一夫理事長があいさつしました。ここで渡邉理事長は「現在、年間に約32万人ががんで亡くなっている。がんの治療法には外科手術、抗がん剤による化学療法、放射線治療をはじめ、温熱治療、免疫療法などがある。総合南東北病院では9月から温熱治療を開始した。平成20年秋には最先端の放射線治療である陽子線治療を導入する。1カ所にこれらの治療法を集約することで、増え続けるがんを克服するため、最善の治療を行っていきたい」と述べました。
 特別講演は次の6人の先生方が行いました。照沼裕先生(総合南東北病院温熱療法科長)、近藤元治先生(京都府立医大名誉教授)、浅尾高行先生(群馬大大学院病態総合外科学准教授)、滝田賢一先生(国立病院機構福島病院外科医長)、土岐淳先生(多摩南部地域病院医師)、上田公介先生(名古屋前立腺センター温熱・免疫療法研究所所長)です。

〔特別講演〕
特別講演の要旨
照沼裕氏(総合南東北病院 温熱療法科科長)

◇免疫力とは体の中の異物を認識し、排除する生体防衛力のことで、異物にはがん細胞も含まれる。免疫細胞療法はNK(ナチュラルキラー)細胞や樹状細胞など免疫力を高める働きのある細胞を活性化して、がん細胞を傷害する治療法だ。
 最近はハイパーサーミアの免疫を高める効果が注目されている。40度程度の局所加温でNK細胞や樹状細胞が活性化し、免疫力が高まる。肝がん、乳がん、腎がんをはじめ、さまざまながんの進行阻止に、私たちは温熱療法と免疫細胞療法を併用し、良好な結果を得ている。温熱療法と免疫細胞療法には次のような共通した利点がある。
@副作用がほとんど無く、患者さんの身体的負担が少ない
A外来治療が可能で、初期でも終末期でも繰り返し治療出来る
B標準的な治療法と併用可能
CQOLを改善する
D再発や転移の予防が期待できる
E痛みを緩和する
F化学療法の副作用を軽減する
などである。これからのがん治療には免疫力にも配慮した集学的なアプローチが必要だ。
 他の治療法と併用で効果がより高まるハイパーサーミアは、何回でも受けることができる。従来、週に2回ぐらいがよい、と言われていたが、実際には多くの方が希望していて、なかなか利用できない、という現実もあり、週に1回行っている施設が多い。1回の治療に40分から50分かかる。
郡山文化センターで開かれた温熱治療フォーラム
☆病院ボランティアで講習会
ぬり絵セラピーを目指し
 10月25日(木)午後1時から総合南東北病院4階大講堂で、当院ボランティアグループ「紙ふうせん」メンバーを対象とした「第1回ぬり絵講座」が開催され、約20人が参加しました。
 ボランティアコーディネーターの都築芳子さんが日本ブレインヘルス協会認定ぬり絵インストラクター資格を取得したのをきっかけに、有資格者で普及活動に取り組んでいる東京の諸田誠さんら3人を講師に招きました。
 参加者はタケノコやキキョウ、バラの花などが描かれた紙に水彩色鉛筆で丁寧に色を塗っていきました。「きれいな色をだすのが難しい」「結構、頭を使って大変」などの感想も聞かれましたが、講師に美しいグラデーションの描き方や色の使い方を習い、楽しみながら取り組んでいました。
 「ぬり絵」は脳の全体を活性化し、ストレス解消や老化防止などに効果があるとされています。今後は活動の中で、当院附属の介護老人保健施設などの入所者さんを相手に、「ぬり絵セラピー」として展開していく予定です。
ぬり絵を楽しむ受講生たち
 
☆“大切な命”をいただき涙が出そうです
患者さんからの礼状
 本当にお世話になりました。朝、病室から昇って行く朝日を見ながら、「大切な命をいただいたんだ」と涙が出そうでした。素晴らしいこの地にあって、医師、看護師、またスタッフの皆さんの温かいケアに頭が下がる思いです。新たなスタートに関わってくださって、ありがとうございました。今後も頑張ってください。
(西東京市 女性 H・Hさん 54歳)
トップページへ戻る