南東北 2008年1月

 
トピック
陽子線治療スタートの年
新年のごあいさつ
総合南東北病院理事長・総長 渡邉一夫
 
 平成20年の新春を謹んでお慶び申し上げます。皆様の温かいご支援によりまして一般財団法人脳神経疾患研究所に属する総合南東北病院と須賀川・大越・滝根・裏磐梯・檜原の附属5診療所をはじめ、南東北福島病院、南東北医療クリニック、同眼科クリニック、3つの介護老人保健施設、在宅介護支援センター、訪問看護ステーション、さらには社会福祉法人総合南東北福祉センター(郡山市日和田)医療法人三成会南東北春日リハビリテーション病院(須賀川)、そして足掛け3年目になる東京クリニックと同クリニックオアゾ、永田町クリニックなどの各施設は、平穏のうちに新年を迎えることが出来ました。心より御礼申し上げます。

 さて、世界情勢はイラク、アフガニスタンで自爆テロが頻発し、年末にはパキスタンでブット元首相がテロによって暗殺されました。日本では安倍首相が参院選の大敗で政権を放棄し、“ねじれ国会”で政局は混乱しています。昨年は戦後2番目の少子化だったようです。高齢化は進み、年金問題も揉めています。国家予算も税収不足で社会保障費は真先に削減の対象にされています。医師不足による医療崩壊も始まっています。新年度の医療費改定はプラス0.38%という大枠が決まったものの、実質はマイナス0.82%となり3年連続のマイナス改定となります。先進8カ国の中でGDPに対する医療費は日本が8.2%で最低となりました。多くの医療機関が赤字で、医師・看護師不足、施設の老朽化、IT化の遅れなどで存続が危機に瀕しています。
 こうした中で、南東北グループでは新年に3つの大きなプロジェクトが動き出します。1つは、6月から“新生”南東北福島病院が233床の大病院としてオープンします。県立リハビリ飯坂温泉病院を吸収し、新しい各種リハビリ専門の医療がスタートします。2つ目は今年最大の事業となる、陽子線によるがん治療が10月19日から開始されます。日本の民間病院では初の導入による夢のがん治療がここ郡山市でスタートを切るのです。全職員がかりで全国に「陽子線市民公開講座」を展開し、がん撲滅に全力を注ぎます。3つ目は田村郡三春町に100床の介護老健施設「南東北リハビリテーション・ケアセンター三春(仮称)」が7月に開設されます。
 また、当院が主催または協力する学会が4つ、当院や県内などで開催されます。「第17回日本脳ドック学会」(6月)「第44回日本小児循環器学会」(7月)「PETサマーセミナーin裏磐梯」(8月)「第6回日本臨床医療福祉学会」(8月)です。

 本年も21世紀医療のキーワードとして
@救急医療
A高度先進医療
B生活習慣病の克服、特にがん・脳卒中・心臓血管病の診断と治療、予防
C療養、在宅医療、リハビリ
D予防医学
E病診連携、病病連携
F生活密着型環境との連携(集合住宅とかグループホーム、医療福祉マンションなど)
G小児医療、周産期医療の導入
H効率的、安定的なプロフェッショナル経営
を掲げてまいります。
 私たち南東北グループ職員は以上の9項目の医療キーワードをクリアしていくため「すべては患者さんのために」を院是として、
@信頼される医療機関をつくること(患者・家族側に立った信頼)
A救急救命、休日・夜間診療体制の整備、特に「絶対に断らない」を貫く
B外来・入院の待ち時間の改善(待っている人の立場に立った対応)、午後外来の徹底
C治療方針の選択に関する分かりやすい説明と同意(文書化)
Dオーダーメード医療の提供
に邁進してまいります。

 以上、南東北グループの新年の目標をお知らせ致しました。本年も旧に倍してご支援のほどをお願い申し上げ、新年のごあいさつとさせて頂きます。
平成20年 元旦
☆無事故願い
手術室開き
 新年を迎えた1月4日(金)の朝礼終了後に総合南東北病院手術室前ホールで、平成20年手術室開きが行われました。渡邉一夫理事長、寺西寧院長らが出席して祭壇に玉串を捧げ、渡邉理事長が「手術の安全と、年間手術7000例を目指して今年もがんばりましょう」とあいさつし、今年1年の無事故を祈り一人でも多くの患者さんを救うべく、誓いを新たにしました。
玉串をささげる渡邉理事長
☆患者さんも参加
真剣に避難訓練
 総合南東北病院の平成19年度2回目の職員防火訓練が12月6日(木)午後2時から院内で行われました。職員約100人が参加、全体説明会があったあと、北棟裏の広場で消火器の取り扱いの訓練が行われました。いままで取り扱ったことのない職員を中心に、燃え盛る炎に消火器を噴射して消し止める訓練が続けられました。
 続いて場所を本院の3病棟に移して患者さんの避難訓練が行われました。職員が車椅子、独歩、担架の患者さんになって病室から避難しました。実際に患者さんや通所リハビリの利用者さんにも参加してもらうなど協力して頂きました。
患者さんを搬送する職員たち
温熱療法特別講演3 浅尾高行氏(群馬大大学院 病態総合外科学 准教授)
がんの手術と温熱療法
◇骨盤に囲まれている直腸の進行がんは局所再発率が高く、肛門を取って人工肛門(ストーマ)を作る直腸切断術が行われている。しかし、生活の質の低下と膀胱障害や性機能障害を防ぐためには、肛門を残す自律神経温存手術が望ましい。それには、手術前に行う温熱化学放射線治療が有効だ。
 群馬大では80年代から術前の放射線療法を行い、96年から温熱療法を加え、02年からは夜間化学療法を併用している。放射線だけの時はがんは消失しなかったが、3者併用の術前療法では42例中、顕微鏡で見てがんが消失した例が17%、CTや内視鏡でがんが認められない例が45%、治療無効例が放射線のみでは47%あったのが温熱併用で0%になった。そのままでは取りきれない進行がんでも、術前療法によってがんを小さくすれば肛門温存術の可能性が高くなる。乳がんに対しては、メスを使わずに針を刺して高温で焼くラジオ波熱凝固療法を行っている。いずれも低侵襲で生活の質を考慮した手術を目指している。
☆1月から始まりました
「がんの相談外来」
 当院では1月7日(月)から「がんの相談外来」が始まりました。診察日は毎月第1・第3月曜日、毎回県立医大附属病院教授で臨床腫瘍センター部長の寺島雅則先生(日本外科学会指導医・専門医、日本消化器外科学会指導医・専門医、日本臨床腫瘍学会暫定指導医)が担当します。主に「がんの治療方法」「セカンドオピニオン」に関して相談を受けます。詳しくは窓口でお聞きください。
☆職員の指導がとてもいいね
患者さんからの礼状
 看護師さんはじめ受付、会計、薬局、事務職などなど、患者への対応がみんな親切で好感のもてるものでした。職員の指導が徹底されておりますことに感謝しつつ退院します。今後とも来院してお世話になります。
 給食についても予算があるでしょうに、毎日おいしく頂きました。日ごろの調理研究、工夫の賜物と推察いたしております。
(東白川郡 M・Sさん 84歳)
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