なぜ治りにくい鼻づまり
粘膜が腫れ異物止める
くしゃみのあと長時間続く
 また花粉症のシーズンがやってきました。平成20年は例年よりスギ花粉が多い、という憂鬱な情報が出されています。花粉症で出る症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりですが、特に鼻づまりはなかなか治らず患者さんを苦しめます。そこで今回は「なぜ治りにくい、鼻づまり」を取り上げました。
★厄介な症状
 アレルギー性鼻炎ではくしゃみ・鼻水・鼻づまりといった症状が繰り返し起こります。くしゃみと鼻水は抗原の刺激を受けて間もなく現れますが、鼻づまりはやや遅れて現れ長時間続くため、口で呼吸してノドを傷めたり眠れなくなったり、とても厄介な症状です。
  
★なぜ鼻は詰まりやすいの?
 鼻の中(鼻腔)は空気の通り道になっており、3つの厚い粘膜に被われた骨のひだ(鼻甲介)が空気の通り道に突き出し、複雑な構造になっています。これらのひだ(鼻甲介)の間の狭いスペースを空気が通り、空気中の異物が取り除かれ、肺へきれいな空気が送られます。また、吸い込んだ空気(吸気)に含まれる様々な刺激物から肺、気管支、気管を保護する役目を担っています。刺激物が鼻に入ると鼻粘膜はくしゃみによって刺激物を吹き飛ばし鼻水によって洗い流し、粘膜が腫れて刺激物がのど、気管支に届かないように反応します。こうした役割のため鼻粘膜はもともと刺激に反応しやすく出来ています。
  
★ロイコトリエンの仕業
 鼻の中に吸い込まれたハウスダストやダニの死骸、カビ、花粉などの吸気中の抗原は、鼻粘膜にある肥満細胞の上で抗体と反応し、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンが放出されます。ヒスタミンは鼻粘膜を刺激してくしゃみや鼻水を起こし、ロイコトリエンは鼻づまりを起こします。6〜10時間後に再び鼻がつまってきますが、これは主に好酸球の活性化によって放出されたロイコトリエンによって起きる、といわれます。
 鼻づまりは長時間続くため、睡眠など日常生活にも支障をきたす厄介な症状です。このようなアレルギー反応が繰り返し起こり、症状が持続すると同時に鼻粘膜が刺激に対して過敏に反応するようになってきます。
 
★治療法は?
 薬物療法が一般的ですが、症状に応じて減感作療法や手術療法を行うこともあります。
〔薬物療法〕
 特にアレルギー鼻炎にみられる鼻づまりにはロイコトリエン薬が効果がある、とされます。このほかヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン薬や化学伝達物質遊離抑制薬、ステロイド薬などが用いられます。
〔減感作療法〕
 アレルギー性鼻炎の原因となる物質のエキスを少しずつ注入して過剰な反応が起こらないように体質を改善する治療法です。治療に時間がかかりますが、成功すれば安定した効果が得られます。
〔手術療法〕
 薬物療法で効果が得られない場合、鼻腔の通気性の改善のために手術を行うことがあります。
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