40歳を超えたら「腸検査を」
 自律神経が乱れると、いろいろな臓器に影響があらわれますが、特に「腸」は影響が受けやすい臓器です。ストレスで精神的にバランスが崩れた状態や緊張した状態が続くと、腸の働きも乱れます。中でも40歳以上の人に多いのが過敏性腸症候群です。こうした腸の不調が続く場合はぜひ検査を受けましょう。いま増えている大腸がんの心配もあります。40歳超えたら腸検査≠合言葉に!
◎過敏性腸症候群とは
 仕事上のプレッシャー、会社や友人との関係での悩み、家庭不和などによる精神的ストレスで、腸が過敏な状態になって便秘・下痢・腹痛を長期間繰り返して起きる状態です。男性に多いのが下痢型で、朝の通勤電車の中で急に腹痛が起こり、途中下車をしてトイレに駆け込むなど大変な思いをすることもあるようです。この病気の治療はまず、ストレスを取り除く必要があるのですが、それに伴い、下痢や便秘を抑える対症療法のほかに、消化管の運動を調整する薬剤や腸内の水分を吸収する薬剤、精神的な安定をはかるための薬などが投与されることがあります。それにはまず、医師の診断を受けて、自分に合った薬を服用しなければなりません。
 
◎大腸ポリープとは
 大腸の粘膜にできたイボやこぶのような腫瘍でほとんどが良性ですが、何らかの刺激により腫瘍細胞に異変が生じると、最初は良性であっても、その後がんになる可能性はゼロではないのです。大腸ポリープもやはり働き盛りの40代から増え始め、年齢が上がるほどできやすくなります。大腸検診で内視鏡検査を受けて発見されることが多く、ポリープの形態の様子を見て、その後がん化しやすいものは切除することになるでしょう。この病気も早期発見がカギとなりますので、腸の検査は重要です。
 
◎大腸がん
 大腸がんの発生が近年大幅に増えています。日本では毎年約6万人に大腸がんが発生しているといわれ、原因はたんぱく質や脂質のとりすぎ、食物繊維の摂取が減って腸内の悪玉菌の作用で発ガン物質をつくってしまうからと言われています。早期の大腸がんは、ほとんど自覚症状がないため、大腸検診で見つかれば完治する確率も非常に高く、早期発見することが重要です。大腸がんは進行すると腹痛や下痢、便秘などの症状や便に血や粘液がまじることもあります。  このような症状に気づいたら、すぐに病院で詳しい検査をして下さい。
  
◎腸の検査って何をするの
 腸の検査と聞くとみなさん二の足を踏むことが多いですが、検査の種類とその方法を知り、安心して医師に検査をしてもらい、重症にならないことが一番です。問診、腹部の診察、必要に応じて直腸内触診、便潜血反応検査、下部消化管内視鏡検査などがあります。  直腸内触診は、患者さんの肛門に医師が指を直接挿入し、肛門や直腸下部の病変を探る検査です。新鮮血の下血の場合、直腸がんや直腸ポリープ、内痔核が多いので、肛門からの直腸の病変を見つけるためにする検査です。便潜血反応とは、大便を採取して、それに血が混じっているかどうか調べる検査です。肉眼ではわからない便中の潜血を試薬を用いてチェックします。
 
◎下部消化管内視鏡検査
 肛門から内視鏡を挿入し、直腸、S字結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸、盲腸へと順に奥へ進ませながら病変を直接観察する検査で、同時に生検用の組織を採取したり、ポリープを切除したりすることも可能です。  
 この検査を行うには腸をきれいにしなければなりません。下剤をかけて腸内をきれいにしてから内視鏡を入れます。
 
〔便に血が混じっているとき、考えられる病気〕
1)便に赤黒い血が混じる = 上部大腸がん・潰瘍性大腸炎・ポリープ、など
2)黒いタール状の便になる = 食道がん・胃がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍、など
3)潜血が出る = 痔疾
4)便に潜血が付く = 痔・下部大腸がん・ポリープ、など
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