肺炎

高齢者には危険な病気

 冬にカゼをこじらせると、肺炎になる場合があり注意が必要です。人口動態統計によると、2005年には107,000人が肺炎のため亡くなって、この年の死者全体の9.9%と約1割を占め、日本人の死因の第4位となりました。この肺炎による死亡の90%以上が65歳以上のお年寄りで、高齢者にとって肺炎はきわめて危険な病気と言えます。その実態や治療法などを取り上げてみました。
(毎日新聞紙面から)
原因
 なぜカゼから肺炎になるのでしょうか。カゼはライノウイルス、アデノウイルスなどのウイルス感染が原因で鼻やノドなどに炎症が起きてクシャミや鼻水、ノドの痛みなどを起こします。ウイルスの中でもインフルエンザウイルスは他のカゼのウイルスに比べ感染力が強く症状も激しいので、普通のカゼとは別格に扱われます。こうしたウイルス感染によって気道粘膜がダメージを受けると抵抗力が低下して、普段なら防御できる細菌を防げなくなって、肺に炎症を起こすのが肺炎です。ですから、いきなり肺炎になることは少なく、インフルエンザやカゼに続いて肺炎になるケースが多いのです。
症状
 (1)高熱が続く(2)黄色いウミのような痰(たん)が出る(3)胸が痛くなる(4)息苦しくなる、などが特徴ですが、自分で見分けるのは難しいです。カゼのウイルスの活動は感染後3日くらいがピークで、症状が出ても1週間で治るのが普通。なのに、カゼをひいて重い症状が続くようだったら、医師に診てもらう方がいいです。胸部のレントゲン撮影で白い影が写ったら肺炎と診断されます。しかし、高齢者の場合は体力が落ちているため高熱や咳、痰などの症状が出ず、肺炎に気付かないことがあります。カゼは治ったハズなのにぐったりして元気が無い、食欲が無いという場合は要注意です。
肺炎球菌
 原因菌の中で最も多いのが肺炎球菌です。日常的に存在するありふれた菌ですが、最近は抗生物質に対して耐性を持った肺炎球菌が増えて問題になっています。この予防には肺炎球菌ワクチンの接種が効果的で、接種すると5年間は肺炎球菌による肺炎の予防効果が続きます。インフルエンザのワクチン接種から1週間おいて接種することになります。
予防
 高齢者や要介護者がいる家庭で注意したいのは「人ごみへの外出を避ける」「手洗い、うがい、マスクの着用」など一般の人と同じですが、さらに「高齢者は食事と水分が摂れなくなったら、一気に体力が落ちるので、熱を出したら早めに病院に行くこと」が重要です。また寝たきり高齢者で気を付けたいのは誤嚥性肺炎です。年をとって物を飲み込む力が衰えると唾液や食べ物が食道ではなく気道に誤って入り、肺炎に繋がります。食後には直ぐ横にならないで30分くらいは体を起こしておきましょう。また歯磨きも大切です。

カゼで抵抗力をなくす 肺炎球菌ワクチンで効果的
トップページへ戻る