南東北 2009年3月



コレステロールって何?

 コレステロールという言葉はほとんどの方が知っていますが、「それは、どんなもの?」「コレステロール値が高いと、どんな病気になるの?」と聞かれると、なかなか答えられません。最近、学会でコレステロールに関するガイドラインも改訂されました。そこで今月は「コレステロールについて」です。

脂質異常症の診断基準 (表1)

高LDL(悪玉)コレステロール血症・・・140mg/dL以上

低HDL(善玉)コレステロール血症・・・40mg/dL以上未満

高中性脂肪血症・・・150mg/dL以上

([動脈硬化性疾病予防ガイドライン2007年版]より引用)

新しいガイドライン
 2007年に日本動脈硬化学会で「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」が改訂されました。これによると(1)これまでは血液中に含まれる「総コレステロール値」を診断や治療の基準としてきたが、以後は「LDL(悪玉)コレステロール値」を基準とする(2)高脂血症と呼ばれていた病気は、「脂質異常症」に改める(3)動脈硬化性疾患の予防効果を高めることを期待して「メタボリックシンドローム」を危険な病態として取り扱う、などが主な変更点です。
コレステロールの働き
 私たちの身体の中には4種類の脂質が存在します。中性脂肪、コレステロール、リン脂質、遊離脂肪酸の4つです。これらは、それぞれ身体を健康に保つ上で重要な役割があり、すべて有害というわけではありません。一定量は体内に維持する必要があります。このうちコレステロールは細胞膜の形成や、身体の働きを微調整するホルモン、胆汁酸(脂肪を消化・吸収するもの)を形成する物質として必要なものです。
 コレステロールは肝臓で作られ、血液によって全身に運ばれますが、余分なコレステロールは血液によって肝臓に戻ってきます。その際、HDL(善玉)コレステロールは血管の壁などに溜まったコレステロールを取り除いて集めて持ち帰ります。ところがLDL(悪玉)コレステロールは全身に運ぶだけで、使わないコレステロールは血管や末梢の組織に置いてきてしまいます。
引き起こす病気は?
 現代人に多い脂質異常症は血液検査で診断します。「血液中のLDLコレステロール(悪玉)が多すぎる」「HDLコレステロール(善玉)が少なすぎる」「中性脂肪が多すぎる」場合に脂質異常症とされます(別表1)。さらに脂質異常症に関連して(1)コレステロール値が極端に高いと動脈硬化の原因となり、血栓が出来やすくなって脳梗塞などの病気を引き起こす要因になる(2)コレステロール値が極端に低いと、がんや肺炎、脳卒中になる要因となる、といった可能性もあるので注意が必要です。
値を減らすには
 脂質異常症などの診断を受けたら専門医の指示に従う必要がありますが、こうならないためには(1)食生活を正す=暴飲暴食を止め1日のエネルギー摂取量を適切に(2)適度な運動をする=少し汗ばむ位のウォーキングを長期的に行う(3)禁煙する=動脈硬化を高める危険性を取り除く、といった生活習慣を改善するのが第一です。
全てが有害とは限らないが「善玉」多く「悪玉」減少を
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