南東北 2009年4月



気管支喘息を知ろう

 いま、気管支喘息(きかんしぜんそく)の患者さんは年々増えて国民の4〜5%にも上ると言われています。この気管支喘息は根気強い治療が必要な病気ですが、適切な治療を受け自己管理を徹底させることで発作をコントロールすることも可能になってきています。気管支喘息をよく知った上で、自己管理には「基礎体力を付ける」「ストレスを貯めない」「発作の誘因を避ける」の3原則を基本にしてゆきましょう。
誘因を極力遠ざける 「季節の変わり目」「明け方」も
 気管支喘息はある特定の因子が引き金となって、空気の通り道である気管支に慢性の炎症が起こり、呼吸困難の発作が引き起こされる病気です。(1)アレルギー体質の人に起こる「アレルギー型」(2)感染、自律神経失調症や内分泌調節異常から起きる「非アレルギー型」(3)以上の2つの型が混ざった「混合型」、に大別されます。小児の場合はほとんどが(1)、成人は(3)が多いと言われますが、いずれにせよ気管支喘息の発症にはアレルギーが深く関わっています。発作は患者さんが特定の誘因に接触することによって引き起こされます。従って、特定の誘因から患者さんを極力遠ざける事が発作予防の基本となります。
 気管支喘息と診断されたら、喘息を起こす誘因を探るためアレルギー抗体検査などが行われます。検査の結果、ハウスダスト・家ダニ・犬や猫の毛、といったアレルゲンがはっきりすれば、これらに出来るだけ接触せず、医療機関での定期的な治療を受けることになります。また喘息患者さんの気管支は常に軽い炎症を起こしているため、健常者にくらべ何十倍も気管支が過敏になっていて、アレルゲンだけでなくストレスなど他の様々な刺激によっても発作が引き起こされ易いことが分かっています。
主な治療薬
◆β2−アドレナリン受容体刺激薬(サルブタモール、テルブタミン、フェノテロール、プロカテロールなど)=交感神経に作用し狭くなった気管支の筋肉を拡張させる。吸入薬は即効性あり◆サキンチン誘導体(アミノフィリン、テオフィリンなど)=発作で狭くなった気管支を拡張させる◆抗アレルギー薬(抗ヒスタミン剤など)=発作の予防に効果◆副腎皮質ステロイド薬=主に吸入薬として使われ、発作の予防や喘息の重症化を防ぐ。
発作の誘因になりやすいもの
★気象・季節=発作は秋、梅雨どき、冬から春への変わり目に起こりやすい。気圧変化や温度差が要因(図1)★時間=夜間から明け方にかけて発作が多く悪化する。気管支はこの時間帯に縮小し夜間の冷え込みなどが要因に。また午前4時ころにアレルギー誘因物質のヒスタミン値が上昇、引き金になる★感染=カゼなどをひき、のどや気管支の炎症が助長されると発作が誘発されやすく重症化することもある★その他=ストレス・たばこの煙・冷気・香水・激しい運動・過労、など。
治療方法
薬物治療が中心になります。最近は発作が頻発する明け方の時間帯に効き目をあらわす薬も研究されています。主な治療薬は前ページ別表の通りです。このほか、アレルゲンが特定されていれば、定期的にアレルゲンを少しずつ注射して身体に慣れさせる「免疫療法」もあります。またピークフローメーターを使って毎日のピークフロー値(最大呼出流量)を測定すると危険な時期を予測できるので、発作予防に有効であるとされています。
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