南東北 2009年5月



肺結核

 お笑いタレントの「ハリセンボン」の1人が肺結核を患っていた、として大騒ぎになりました。なぜ、こんなに大騒ぎになったのか、それは肺結核は飛沫感染するからです。過去の病気と思われがちな結核ですが、現在でも年間におよそ3万人が新たに発症し約7万人の罹患者がいる、という主要な感染症の1つなのです。今回は肺結核についてもう一度勉強しましょう。
今も7万人の罹患者 ほとんど薬物療法で治す
 肺結核とは結核菌が原因となった感染症で、肺に感染したものを肺結核と呼びます。その感染ルートは、いわゆる飛沫感染(空気感染)です。肺結核を患っている人の咳やクシャミなどから排出された結核菌を吸い込んでしまい、肺にまで菌が及ぶと感染してしまいます。
感染したら必ず発症?
 感染者のうち、肺結核を発症してしまうのは10人に1人か2人ぐらいです。これは体内の免疫機能が結核菌を封じ込めてくれるからです。ただ、免疫によって結核菌の活動は停止しますが死滅せず、そのまま体内にとどまっているケースが多くあります。この体内にとどまった結核菌は、体の免疫力が低下すると再び活発化して肺結核を発症させてしまうことがあります。これを既感染発病といいます。
どんな症状が出るの?
 咳と痰が出て微熱が続きます。また息苦しい、食欲が無い、などの症状も現れます。このように症状がカゼに似ているため、そのまま放置してしまい、重症化してから初めて受診される方も少なくありません。咳・微熱が2週間以上続いたら病院で診てもらうことです。
発病すると必ず人にうつしてしまう?
 多くの場合、病状が悪化して沢山の結核菌が検出されるようになった患者さんのみが、咳やクシャミなどで結核菌を外に排出してしまいます。
発病しないための防護策は
 体質などにもよりますが、結核菌は免疫によって制御できます。免疫力を高めておけば感染しても発症しにくくなります。睡眠をしっかりとり、栄養バランスのとれた食生活を心掛け、適度に運動するようにしましょう。また、学校や職場、地域などで実施されている健康診断をキチンと受けることも大切です。免疫力が低下してしまう疾患がある方や高齢者は注意が必要です。お年寄りの中には若い頃に感染している方がいて、加齢とともに再び活発化することも少なくないので、気をつけてください。
治療の方法は
 ほとんどが薬物療法です。3〜4種類の薬剤を併用して服用します。服用期間は病状にもよりますが、約6カ月から1年です。多くは通院で治療するケースです。
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