ノロウイルス感染の予防術

 秋が深まりノロウイルスの感染による食中毒や感染性胃腸炎が増えはじめます。感染者の吐いた物や排泄物に触れた手を介して、ウイルスが食べ物や食器などに付着して間接的に感染するケースが目立ちます。「家族がノロウイルスに感染した!」という事態を予想して家庭で出来る予防法を専門家に聞きました。(読売新聞紙面から)
貝よりも排泄物【原因】
 ノロウイルスは生ガキやハマグリなどの二枚貝を食べた時に起こる食中毒として知られています。しかし、二枚貝が原因で発生するケースは実は全体の15%程度に過ぎません。多くはウイルスを多量に含んだ感染者の吐いた物や排泄物に触れた手を十分に洗わなかったり、掃除が行き届かなかったりしたことが原因なのです。残留したウイルスが食べ物を介して経口感染するとみられています。
手の汚れを流す【手洗い】
 感染予防でもっとも大事なのは丁寧な手洗いです。市販されている消毒殺菌液やエタノール、石鹸などを使ってもウイルスは死滅しませんが、手の汚れをしっかり洗い流すことで、ウイルスが手指から剥がれやすくなる効果が期待されるのです。食事や調理の前、トイレの後などは石鹸で手をよく洗うことが肝心です。
加熱処理が有効【殺菌】
 寝る前に吐き気を感じたら、枕元に吐物用のバケツなどを用意したいものです。寝具に吐瀉物が付着してしまった場合は飛び散らないように拭き取り、汚れたシーツや寝間着などは他の洗濯物とは別にしてもみ洗いします。この際しぶきを吸い込まないように注意しましょう。ノロウイルスを死滅させるには次亜塩素酸ナトリウムが含まれた塩素系漂白剤や、「85度以上で1分以上」の加熱処理が有効です。一般的な洗濯用洗剤や水洗いでは繊維に付着したウイルスは十分に取り除けません。塩素系漂白剤は説明書に従って水で薄めて使います。ただ、素材によっては色落ちしたり変質したりする可能性があるので注意すること。洗濯物は熱湯に浸したり、高熱の乾燥機を使ったり、アイロンを当てると安心です。布団は洗いにくいので、よく乾燥させたあと汚れた部分にスチームアイロンの高温の蒸気をあてるとよいでしょう。
雑巾は更に消毒【掃除】
 床や絨毯に吐瀉物が付いた場合はペーパータオルなどできれいに拭き取った後、雑巾やモップで何度も拭き洗いします。そして使い終わった雑巾は必ずノロウイルスを死滅させる必要があります。不十分だと雑巾が乾燥した後にウイルスが空中に舞い上がり、これを吸い込んだ人が感染する恐れが出るからです。また、塩素系漂白剤で床を拭くと変質・変色する可能性があるのでここにも注意を。
中まで火を通す【調理】
 年末年始は会食の機会が増えます。二枚貝を食べる際は必ず中心まで火を通すことです。調理器具や食器類は熱湯に浸したりキッチン用漂白剤を使っておけば安心です。被害の拡大を防ぐためには一人ひとりがウイルスを減らす努力が大事、ということです。
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