南東北 2010年05月



新たに口腔外科を開設

 総合南東北病院に平成22年4月から新たに口腔外科が開設されました。口の中の病気は種類も多く、口腔がんをはじめ多くは痛みなどの症状が無いため、知らず知らずに悪くなっていくことが多いのです。時々は口の中の検診が大切です。開設された口腔外科では日本口腔外科学会の指導医・専門医はじめインプラントや顎顔面補綴の専門医など、様々な角度からエキスパートが丁寧に相談を受け診療します。最新鋭の診断のほか手術機器も完備しました。口や顎に異常を感じたら遠慮なく受診下さい。(扱う病気は6月号につづく)
口腔外科とは
 歯科の中の専門分野ですから親知らずなどの抜歯や、アゴの炎症を処置するのは最も得意としています。それ以外にもたくさんの病気を治療します。舌や歯ぐきにできる癌、口内炎をはじめとする様々な口の粘膜の病気、アゴの関節の病気、アゴの骨折などの顔面外傷、口が渇くドライマウスなど唾液腺の病気、手術や交通事故で顔面やアゴを欠損した方への特殊な顎顔面補綴など多岐にわたっています。チタン製の人工の歯を直接アゴに植えるインプラント、特に高度の技術を要するインプラントも得意としています。
 総合南東北病院はがん治療、脳外科、心臓外科、消化器外科など重篤な病気の治療を優先する、いわゆる急性期病気として全国的に知られていますが、これらの病気と歯や口の病変が深くかかわっていることが知られるようになり、口腔外科はこれらの重い病気の予防と治療に病院内で活躍しています。心臓病、糖尿病、骨粗しょう症などの生活習慣病でお困りの方は一度ご相談を。
口腔外科で扱う主な病気について
【口腔癌】
 口腔癌とは口の中およびその周辺にできる癌のことで、できる部位によって舌癌、歯肉癌、頬粘膜癌、口唇癌などのあります。日本における口腔癌の発生頻度は全癌の約2%と少ないため、多くの人にはよく知られていません。歯肉癌では「えっ、歯ぐきに癌ができるの?」という人がたくさんいます。癌は体のどこでもできるので覚えておいてください。

口内の病気の治療例

 口腔癌の特徴は潰瘍のように掘れこんでいて、その周囲が硬くなる、赤くただれる、おできのように膨らむ、口の中の一部が白斑のように白くなるなどの症状です。共通の症状は「しこり」です。でも、その前の僅かな異常をキャッチすれば小さな処置でほとんど100%治ります。早期発見が運命の分かれ道なのです。原因ははっきりと分かっていませんが、タバコや合わない入れ歯を入れて慢性的な潰瘍を放っておくと癌になりやすいと言われています。
 口腔癌の治療の第一選択は手術で、大きさによって癌組織のみ、あるいは首のリンパ節を含めて拡大切除することがあります。口腔癌の場合、切除部が顎の骨、顔面、頚部に及ぶため、術後に咀嚼障害、嚥下(飲み込み)障害、会話障害、顔貌の変形などの後遺症を残します。しかし、最近は顕微鏡を用いた移植手術により、これらの後遺症は少なくなってきています。その他の方法として一般的な放射線治療や陽子線治療、抗癌剤治療や動脈からカテーテルを入れる超選択的動注療法などがあります。どの方法もひとつでは効果が不十分なので、組み合わせて治療することがほとんどです。最近、口腔癌の治療成績はかなり向上してきました。しかし、大きな癌であったり、頚のリンパ節や肺に転移があったりすると治しにくくなります。口腔癌は口の表面に発生するので、直接見て触ることができ、早期発見・早期治療が可能です。おかしいと感じる方はお気軽に口腔外科の受診を。
【インプラント】
 歯が欠損したところに人工の歯根(チタン製)を埋入し、歯をかぶせます。ブリッジのように両隣の歯を削ることもなく、入れ歯のように違和感が強くでることもありません。歯と同じような感覚で食事をすることができ、審美的にも問題ありません。当院ではインプラント用CTを導入し、安全かつ確実性のある治療を実践しております。

口や顎に異常を感じたら/受診し早期治療を

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