広報誌 南東北

第220号

低血圧と高血圧

 私たちが病院で受ける一番身近な検査といえば「血圧測定」ではないでしょうか。診察を受ける前に自動血圧計で簡単に測れますね。「血圧なら家でも毎日測っているよ」と言う方も大勢います。血圧が高いなどの理由で、毎日の血圧を記録するよう勧められている方もいます。反対に「健康診断の度に血圧が低いと指摘されるけど、低血圧は病気ではないと聞くし、どうすればいいのだろう」という方もいます。そこで普段はあまり気にならない「低血圧」と、生活習慣病に結び付き易い「高血圧」を取り上げてみました。
血圧とは
 血管の中を流れる血液が、血管の壁を押し広げる力のことを「血圧」と言います。血液が壁を押す力が強くなるほど血圧は高くなります。血圧は2つの値で表されます。「上がいくつ、下がいくつ」という言い方をしますが、心臓が縮んで血液を送り出した時の血圧を「収縮期血圧(最大血圧)」と言い、これを俗に上の血圧≠ニ呼びます。反対に心臓が広がった時の血圧を「拡張期血圧(最小血圧)」と言い、下の血圧≠ニ呼んでいるのです。
低血圧と低血圧症
 厳密には定義されていませんが、一般的に上の血圧が100o/hg以下の場合を低血圧と呼びます。しかし血圧が低いこと自体は病気ではありませんから、低血圧によって治療を必要とする何らかの症状が現れた時に「低血圧症」という病名が付きます。低血圧症には4つあります。@本態性低血圧症=低血圧を起こしている原因は分からないが、何らかの自覚症状があるものA症候性(二次性)低血圧症=心臓疾患・内分泌系器官疾患・自律神経失調症といった他の疾患、また降圧剤や向精神薬などの副作用が原因で低血圧が引き起こされるもの。これに伴って何らかの症状が起きるB起立性低血圧症=急に立ち上がった時や、長時間立っている時、などに自律神経による血圧調整がうまく働かず低血圧が起こり、それに伴って何らかの症状が起こるものC食事性低血圧症=食事の際に胃と腸の血流が増えて全身への血流が減少、急に低血圧になって何らかの症状が起こるもの、の4つです。
症状と治療
 低血圧の身体症状としては、めまい・立ちくらみ・頭痛・全身のだるさ・動悸・頻脈、などがあり、失神を起こす場合もあります。精神症状としては朝の目覚めがよくない・起きられない・不安感・不眠・食欲不振などが挙げられます。治療としては、身体症状には血圧を上げる薬やステロイド薬が、精神症状には抗不安薬や自律神経を調える薬などが処方されます。
高血圧
 低血圧と異なり、高血圧(表1)は身体に様々な悪影響を及ぼし生活習慣病をひきおこす引き金ともなります。高血圧には何らかの疾患が背景となって起こる「症候性(二次性)高血圧」と、様々な因子が重なることで起こると考えられる「本態性高血圧」の2種類があります。「症候性」の場合は背景にある病気を治療することで高血圧の改善を図ります。しかし、高血圧症の90%以上は「本態性」である、と言われています。血管の壁に常に高い圧力がかかっていると、血管の壁が厚くなって弾力性が失われます。これを動脈硬化と言い、放置していると様々な生活習慣病に繋がる可能性があります。やはり生活習慣を見直して、必要に応じて服薬を中心にした治療を行うことになります。

低血圧「上が100以下」

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