広報誌 南東北

第223号

胆石 その原因は?

 胆のうに出来る結石が胆石。年齢を重ねるごとに出来やすくなり、特に肥満気味の中年女性に多くみられます。胆石が出来る原因は?その多くはコレステロールの増加によるものです。
何故出来る?
 胆汁の中のコレステロールは胆汁酸やレシチンによって溶かされた形になっていますが、高エネルギー、高コレステロールの食事を続けていると胆汁の中のコレステロールの量も増加します。この結果、過剰なコレステロールが溶かされないまま結晶化して石になるのです。この胆石は主成分がコレステロールなので「コレステロール結石」と呼ばれ、胆のう部分に出来ます。胆石症の人の70%以上をこのコレステロール結石で占めます。
 一方、栄養状態が悪すぎても胆石が出来ます。低栄養や低タンパク質の状態が続くと胆汁成分の1つ、ビリルビンがカルシウムと結合しやすい物質へと化学変化を起こし「ビリルビンカルシウム」という結晶を作ります。昔はこの低栄養状態の胆石症が多かったのですが、現在では全体の20%以下に減っています。
症状は?
 腹から背中の部分の鈍痛や、疝痛発作と呼ばれる、のたうち回るような激痛に襲われたり、発熱や黄疸が見られる場合があります。食べ過ぎたり脂っこい食事をした後、30分から1時間ほどで起こることが多く、右肋骨の下からみぞおちのあたりにかけて差し込むように痛みます。痛みは数時間も続いて、吐き気を伴う場合もあります。特に高熱が出た時は胆のう炎や胆管炎を併発している場合があるので注意が必要です。
検査は?
 胆石は腹部単純X線検査で発見されますが、写らない場合もありますので腹部超音波検査が最も有力な検査法です。胆のう以外にある胆石は経静脈性胆管造影や、内視鏡的胆管造影なども行われます。
予防法は?
 胆石発作が脂肪分の多い食事をした後にみられることが多いことでも分かるように、脂肪分を制限した食事を摂ることが第一の予防法です。脂肪分の少ない鶏肉や魚でタンパク質などの栄養をとるようにして、食物繊維をたっぷり摂りましょう。また、ストレスも発作を誘発する可能性がありますので、ストレスが溜まらないようリラックスしましょう。コーヒーは胆石症を予防するので、1日1〜2杯を飲みながら、ゆっくりした時間を過ごすとよいでしょう。
胆のうの働き
 胆のうは肝臓で作られる胆汁を一時的に蓄えておく貯水池のようなもので、胆汁には体内に取り込まれた脂肪分を乳化して分解しやすい状態にする働きがあります。胆のうに蓄えられた胆汁は水分や塩分が吸収され5〜10分の1に濃縮されます。さらに粘液が加えられ十二指腸に送られる仕組みになっています。大きさは長さが約7〜10p、幅が約2〜3pでナスのような形をしています。
 十二指腸に脂肪分の多い消化物が送られてくると、ホルモンの指令が下り、総胆管から十二指腸につながる部分のオッディー括約筋が緩んで胆汁が絞り出されます。こうして脂肪の消化が促進されるのです。

コレステロールが結石 / 脂肪分の少ない食事が肝心

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