広報誌 南東北

第225号

ノロウイルスから身を守る

冬に猛威を振るう/「食中毒」と「感染症」がある

 近年、猛威を振るっているノロウイルスが今年も蔓延しそうな気配で、福島県内でも中毒のニュースが聞かれ始めました。下痢や嘔吐を引き起こし乳幼児や高齢者では重篤な症状に陥るケースが心配されています。「身を守るには」「その治療法」をまとめてみました。
食中毒の原因と経路
 ノロウイルスの食中毒の原因としてカキなど二枚貝のことが知られていますが、でも、これらの二枚貝を食べなくても多くの人がノロウイルスによる食中毒に罹っています。なぜでしょう。その答えは「人」にあるのです。ノロウイルスは口から人体に入り(経口感染または空気感染)、小腸で増殖し、便や嘔吐物から大量に排出されます。このウイルスが手などに付着し食物を介して感染すると「食中毒」になります。ウイルスを手に付着させている人が料理をすれば、食物にウイルスが付いて感染源になります。また調理器具の洗浄が不十分で、ウイルスが除去出来ていない場合も感染源になります。このほか、ウイルスに汚染された井戸の水や簡易水道の水も感染源になります。
予防法
@カキなどの二枚貝は中心温度85度以上の状態で1分間の加熱調理をしてから食べるAまな板や包丁などの調理器具はこまめに洗い、消毒も行うB念のため、野菜やくだものなど、生のままで口にするものは十分に洗ってから食べるC料理をする前はしっかりと手を洗う。また嘔吐や下痢などの症状がある人は調理をしない。
感染症の原因と経路
食物を介さないでノロウイルスに感染すると「感染症」になります。この感染症は「感染者の手などに付いたウイルスが間接的に感染する」「感染者の便や嘔吐物を処理した際に口、手、衣服などに付着して感染する」「便や嘔吐物の処理が不十分で床などに残り、乾燥して含まれていたウイルスが空気中に漂い、それを吸い込んで感染する」などの経路が考えられます。
予防法
@トイレに入ったあとや、食事の前に必ず手を洗う。感染者の便や嘔吐物を処理したあとは念入りに手洗いし、うがいをするA手を洗ったあとに使用するタオルは清潔なものを使い、共用は避けるB感染者の便や嘔吐物を処理する際は、使い捨てできる大きめのエプロンとマスク、ビニール手袋を着用して行う。雑巾もペーパータオルのように使い捨てが出来るものを使う。使用したバケツの消毒も忘れずにC便や嘔吐物で汚れた場合、拭いただけではウイルスが残るので、塩素系などの消毒液で消毒し、また換気を行うこと。
その症状と治療
 ノロウイルスに感染・発症すると嘔吐や下痢、腹痛、発熱などの症状が現れます。この症状が出たら必ず医師に診てもらいましょう。ただ、健康体なら重篤な状態になることは極めて稀です。症状はおよそ1〜3日以内で回復し、後遺症が残る心配もまずありません。
 気を付けなければならないのは抵抗力の弱い乳幼児とお年寄りです。重篤な状態をきたす場合があります。脱水症状を起こしたり体力を消耗しやすいので水分と栄養をしっかり摂りましょう。脱水がひどければ医療機関で点滴を受けることです。

「人」が介在して拡がる

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