広報誌 南東北

第227号

早めに花粉症に備える

無縁でも突然発症も/今年の花粉は5倍以上に

 いよいよ花粉症の季節を迎えます。日本気象協会のご託宣では今春の花粉飛散は時期が早まり、量も多いと発表しています。そこで、「早目に予防と、症状緩和のための日常的な心がけ」について、総合南東北病院アレルギー・頭頚部センター所長の今野昭義先生(元千葉大学耳鼻咽喉科教授)にうかがいました。
◎アレルギー・頭頚部 センター長 今野昭義先生に伺いました◎
 日本気象協会は昨年末に「2011年春の花粉飛散量と飛散開始の予測」を発表しました。これによると、「福島県を含む東北南部の飛散開始は2月下旬で例年より10〜20日ほど早くなる。飛散量は前年より多くて5〜10倍になる」としていて、今春の飛散量が多くなることは確実だ、としています。
増え続ける患者数
 これまで花粉症と無縁だった人も、いつ突然に発症するかも分からないのが花粉症の怖いところです。花粉症とは、花粉が原因で起こるアレルギー疾患のことです。その原因になる植物にはスギ、ヒノキ、ブタクサ、カモガヤなどがあります。中でもスギは花粉の飛散量が圧倒的に多く、花粉自体が軽いために飛散する範囲も広くなり、多くの人がスギ花粉症に悩まされるのです。スギ花粉症の患者さんは年々増え続けています。有病率で比較すると、1998年に16.2%だったのが2008年には26.5%、つまり国民の4人に1人がスギ花粉症の患者になっているのです。これは近年、スギ花粉の飛散量が増加しているのと同時に、住環境や食環境の変化によって花粉などアレルギーの原因となる物質に私たちの身体が容易に反応するようになったため、と考えられます。
医師とのコミュニケーションを大切に
 花粉症は、ある日突然に発症します。最初はカゼと勘違いすることもありますが、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみ、充血といった花粉症特有の症状が現われたら、なるべく早く医師に相談することです。花粉症の薬は様々な種類があり、症状や重症度によって選択されるからです。ただし、薬の効果と副作用の個人差が大きいため、最初に処方された薬で十分に満足出来るとは限りません。医師と相談しながら、いくつかの薬を試して最適な治療法を見つけ出すことが大切なのです。
◎情報に注意、外出避ける◎
花粉などを回避するには
 花粉症を完全に予防することは、現在の医療では不可能です。可能な限りスギ花粉などを回避することで予防および症状を緩和するしかありません。そこで日常生活では次のようなことを心がけてください。
 花粉情報に注意するA花粉の飛散が多いときは外出を避ける。どうしても外出するときはマスクやメガネを着用するB花粉が付きやすい毛織物などのコートの着用は避けるC帰宅時は衣類や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをして、鼻をかむD花粉の飛散が多いときは窓や戸を閉めておき、布団や洗濯物の外干しは避ける。
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