広報誌 南東北

第227号

雑穀ブーム

 米や麦などの主食以外のアワ、ヒエ、キビ、ソバ…といった穀物は「雑穀」と呼ばれています。これに豆類が含まれることもあります。この雑穀は太古の昔から、そして現代でも世界各地で重要な作物として多く栽培されています。痩せた土地でもよく育って安定した生産量が得られ、長期保存が出来て、栄養価も高い雑穀は農耕儀式やハレの日の食事に使われるなど、生活文化とも密接に係わっており、何千年にもわたって受け継がれてきた作物なのです。
 日本でも少なくとも紀元前3千年には栽培されていた、といいます。古事記には米、粟、麦、小豆、大豆が「五穀」と記され、当時はこれらの食物は「雑穀」ではなく、主食とみなされていたことがうかがえます。こうして、かっては救荒作物としても盛んに栽培される重要な食物だった雑穀も、明治以降になって稲作が安定してゆくとともに、急速に衰退してしまいました。
 しかし、近年になって優れた栄養特性が注目され、再び脚光を浴びるようになってきています。良質なタンパク質、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で健康や美容への効果が期待されているのです。ご飯に混ぜて炊くと気軽においしく食べられるため人気が出てブームのようになっているのです。ちなみに、「雑穀」の区別は時代や国によってまちまちです。小麦やトウモロコシの消費が多いアメリカでは米が雑穀として扱われているとか。
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