広報誌 南東北

第229号

腰痛に悩む方へ

多いのは骨・筋肉・椎間板 内臓や血管、心因性の場合も

 腰痛は男女を問わず、健康に関する最も大きな悩みといえます。実際に腰痛に苦しめられている人は多く見られ、「腰が痛い」があいさつ代わりになっている光景も見受けます。では、一体どんなことが腰痛の原因になっているのでしょうか。その辺を探ってみました。
腰痛の原因は?
 次の3つが考えられます。@骨・筋肉・椎間板などの障害A内臓・血管の病気B心因性の場合、です。中でも多くみられるのは@で、これらをさらに分析すると「加齢により腰を支える筋肉が衰え、身体を支えきれなくなる」「長年続いた悪い姿勢や無理な動きが原因」の2つに分けられます。Aについては、風邪・消化性潰瘍・腎臓や尿管の尿路結石などが原因になります。さらには腹部大動脈瘤や血管の閉塞が原因で腰に激しい痛みが起こることもあります。突然に始まって冷や汗をともなう腰痛の場合は急いで救急車を呼んで下さい。また、女性の場合は子宮筋腫・子宮がんが腰の痛みの原因になることもあります。痛みが長引くようなら医療機関を受診することをお勧めします。Bについては精神的なストレスが原因の場合もあるので心療内科・精神科の受診が必要になることもあります。
 以上のような激しい痛み≠ェ続く場合の他に、医療機関の受診を考える目安としては?姿勢を変えるなどしても痛みが取れずむしろ酷くなる、?しびれがある、?発熱を伴っている、?意識を失ってボーッとする、の場合です。重い物を持ち上げた時にギックリ腰になったなど、きっかけがハッキリしている場合はしばらく様子を見てもよいでしょうが、内臓疾患など他の部位が原因なら診断・治療が必要です。例に挙げたような症状の場合は早めに受診すべきです。
痛み方から探る
 痛みがどのように現れるか、によって原因を知ることが出来る場合もあります。〔動くと痛む〕安静にしたり姿勢を変えたりしても痛まないが、動くと痛む場合=ギックリ腰・椎間板ヘルニア、などが考えられる〔動かなくても痛む〕安静にしていても痛む場合=腎臓や尿管の尿路結石・急性膵炎・腹部大動脈瘤、などが考えられる〔関連痛〕腰だけでなく他の部位も痛む場合=消化性潰瘍・子宮筋腫・血管閉塞症、などが考えられます。
治療は?
 治療の基本は日常生活での姿勢や生活環境、職場環境などを改善しながら痛みを和らげる「保存療法(手術をしないで痛みをとる)」です。この他の治療法は、まず「薬物療法」です。非ステロイド系消炎鎮痛薬や湿布薬、血流改善薬、筋弛緩薬、ビタミン薬などが処方されます。さらには血流を良くするための「温熱療法」、筋肉を伸ばしマッサージ効果もある「牽引療法」などがあります。激しい痛みに対しては速効性のある「神経ブロック(硬膜外ブロック)」が行われます。脊髄を覆っている硬膜と脊柱管の間に薬剤を注入して痛みをとると同時に、血流を良くする治療法です。逆に保存療法ではなく手術が必要となる場合もあります。強い痛みが続いて日常生活にも支障が出て排尿・排便にも不具合が生じるような神経障害があったり、神経が圧迫されて足の筋力低下がみられる場合、などは手術が行われます。
予防策に体操を
 多くの人が悩まされる腰痛を防ぐには、腰を支える筋肉を鍛え、長年続いた悪い姿勢や不自然で無理のある動作などを改善することが大切です。また夏場のクーラーによる冷え過ぎ、柔らか過ぎる寝具も腰痛の原因になります。正しい姿勢をチェックするためにも腰痛体操をぜひどうぞ。腰痛は普段の生活習慣の見直しで予防出来るのです。

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