広報誌 南東北

第233号

6年ぶりに「慢性痛」全国調査

トップは腰痛、次いで肩、膝

常に慢性的な痛みを持っている人は多いが、2004年に続いて6年ぶりに2010年に「慢性的な痛みを持っている人」に対する大規模な調査が行われました。
この結果、慢性的な痛みを持っている人は成人の22.5%、推定で全国に約2300万人いることが分かりました。しかも回答では「満足がゆく程度まで緩和出来ていない」という答えが約7割にも上っており、前回調査での8割からあまり改善がみられておらず、依然として多くの人が慢性痛に悩まされている様子が浮き彫りになりました。(福島民報の紙面から)
今回調査したのは医薬品会社のムンディファーマー社で、インターネットで4万2000人を対象に実施し、さらに抽出された慢性痛を持つ約6000人から詳細な聞き取り調査を行いました。「痛みの部位別」ではトップが腰で64.1%、ついで肩が47.9%、膝25.6%、首・ノド20.4%の順。「病状」では腰痛55.7%、肩こり27.9%、頭痛・偏頭痛20.7%、関節炎12.9%の順でした。こうした痛みの影響では「過去半年で仕事・学校・家事を1日以上休んだことがあるか」の問いについては「仕事」が20.2%「学校」25.4%「家事」36.3%でした。「痛みに対する対処法」では「病院を受診」64.6%「病院以外の施設で治療」44.8%「薬剤を購入」39.7%「自分だけで対処」57.5%「何もせず」30.5%(複数回答)となっています。「痛みは満足いく程度に緩和出来ているか」では「いいえ」「あまり変わらない」を合わせて70.7%の人が緩和出来ていませんでした。
この調査結果を分析した東京大学医学部整形外科の竹下克志講師は「整形外科の外来のほとんどは痛みの治療を求めて来ます。治療法としては、まず理学療法が一番。患者が自分からストレッチや筋力を付ける訓練をやるようになることが大事。薬は一通り試してみていい。確実に効く人がいます。また神経ブロック療法や、認知行動療法などの心理・精神的な治療も欠かせません」と語っています。ただ、痛みはいったん慢性化すると治療はなかなか難しく、確実に治るという治療法は無いのが現状です。患部だけでなく脳を含めた神経システムが関わってくるため、と考えられています。関節など動く部位の痛みの治療では運動量が問題になりますが、痛いから、と動かさないのは最悪で、動かしながら治していくことが大事、とされています。

成人の22%が持つ

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