広報誌 南東北

第235号

噛めば噛むほどに…

出る唾液が効果発揮

「よく噛んで食べる」ことは健康法の一つです。では、よく噛むことは何故健康に良いのか。その理由は数多く挙げられますが、中でも多い理由は、噛むことによって分泌される唾液による効果です。
唾液にはさまざまな効用があり、「歯を強くして虫歯を防ぐ」「口腔内を洗浄して口臭予防になる」「全身の組織を若返らせる効果のあるホルモンを分泌する」などが挙げられます。また、がんを予防する消化酵素や、インシュリンと同じ働きをするホルモンなども含まれているので、唾液を分泌させることは大きなメリットがある、ということになります。
一方では、最近は硬い食物を食べない、つまりあまり噛まない子供たちの食生活が問題視されていますが、これは大人にも共通していることです。噛むことは脳の発達を促し、これが記憶力など学習能力を左右します。そして認知症やアルツハイマー病の発症にも関係していることが最近の研究で分かってきました。抜歯したままの状態で放置していたり、合わない入歯を使ったりしていることは全身の老化に繋がっている、ということなのです。
また、ゆっくりと噛んで食べる食事はダイエットでの大原則なのです。よく噛んで食べれば、それだけ食事に時間がかかります。そして、噛むという運動によって脂肪組織の分解を促進するヒスタミンが活性化することに繋がるので、ダイエット効果のみならず生活習慣病の予防にも効果が出てきます。よく噛むことは健康で長生きするための必須条件なのです。
ネズミを使った研究の一例
硬いエサを与えているネズミと、粉にした柔らかいエサを与えたネズミのグループを作りました。迷路を作って出口にエサを置いて双方のネズミを放ち、エサのある出口に辿り着く道順の学習について比較したところ、硬いエサのネズミのグループの方が優秀だった、という結果が出ています。

長生きにも“噛む”は大前提

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