広報誌 南東北

第236号

おしっこの話

なぜ健康のバロメーター?

最初からこんな話で恐縮ですが、トイレで用を足した後、おしっことの“ご対面”もせず、水に流していませんか。尿は自分の健康状態をチェックできる格好の「鏡」。トイレタイムを有効に生かす、ちょっと為になるおしっこのことを知ってはいかがでしょう。
私たちは生命を保ち活動するため外界から食物や水、空気などを取り入れます。食物や水は、必要な栄養分を取り出すため消化器によって分解処理されます。この過程で身体に不要な老廃物も出ますが、これらは血液と一緒に全身を巡るため途中で取り除く必要があり、その仕組みが泌尿器の中の腎臓にあります。
腎臓には毎分800〜1000ミリリットルの血液が送られ、フィルター役のネフロンの糸球体で濾過、必要なものと不要なものに分類し尿の元になる原尿が出来ます。ここで濾過されるのは水分や血漿、老廃物などで、白血球や赤血球、血漿板などは濾過されません。原尿は尿細管を通る際ブドウ糖やアミノ酸、ナトリウムなど体に必要な栄養素や水分などの99%が再吸収され、100分の1の量になります。まさに尿は体を巡る血液の“残りかす”。様子が変ならば身体のどこかに異常があるわけで「おしっこは身体の窓」、体調のバロメーターなのです。
健康な成人の場合、一日に出る尿の量は1500ミリリットルぐらい。むろん水分の摂取量や発汗量などによって多少の増減はあります。色は黄色、また黄褐色。膀胱に溜まっている時間が長いと濃くなり短いと薄くなります。尿の成分は84〜85%が水分で残りが固形成分。最も多いのが尿素(たんぱく質の残りかす)で塩分、クレアチン(筋肉中で使われたたんぱく質の老廃物)、尿酸(細胞内のプリン体が分解されて出来る老廃物)などが含まれています。また尿が黄色くなるウロビリン、臭いの原因のアンモニアなども排泄されます。標準的な回数は日中4−5回、夜間は無いか1回で、1度に排泄される量は200−300ミリリットル程度です。
尿は膀胱内の末梢神経が刺激を受け、その情報が大脳に伝わり、膀胱の括約筋が緩んで排尿されます。尿意を我慢できるのは、膀胱の入口に尿道外括約筋があり抑制できるからです。ただ膀胱は伸縮自在のゴムのような素材のため長い間尿が溜まっていると膀胱が伸び、弛んだゴム紐のようになります。また細菌が繁殖しやすく、おしっこは我慢しないようにすべきです。
トイレでおしっこの異常に気付き、それが2、3日以上続くか、それに伴い発熱やむくみなどほかの症状がある場合は、腎臓や泌尿器の専門医を早めに受診しましょう。
チェックは次の通り。
【色】
▼赤(血尿)=赤ワイン色は腎臓や膀胱の病気か。排尿初は膀胱、後なら腎臓
▼にごる・膿が混じる=腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎など疑い。腎臓や尿路系が細菌に感染も。排尿痛や発熱、背中の痛みも
【量】
▼普段より少ない=1日に100ミリリットル以下は無尿、100〜400ミリリットル以上は乏尿。腎臓に異常か
▼多い=1日に2500ミリリットル以上は多尿。腎不全など疑い。糖尿病の人も
【回数】
▼1日2回以下=腎臓や神経の障害など疑い
▼1日10回以上=頻尿で膀胱炎、尿道炎、前立腺肥大症の兆候。夜間頻尿は前立腺肥大の特徴
【その他】
▼におい=糖尿病は果実のような甘酸っぱいにおい
▼痛み=排尿痛は膀胱炎や尿路結石の疑い

 

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