広報誌 南東北

第239号

新年のごあいさつ

グループ挙げ戦略、組織強化、能力開発

総合南東北病院 理事長・総長  渡邉 一夫
新年おめでとうございます。昨年3月11日の東日本大震災で多くの人が犠牲になり、建物が壊れ、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染など未だ解決のメドが立たない年明けとなりました。謹んで犠牲になられた方々のご冥福をお祈りします。また厳しい状況の中で一丸となって難局を乗り越えてくれた南東北グループの職員に改めて御礼申し上げます。
昨年の米国はNYウオール街で失業した若者が貧富の格差問題でデモ行進するなど不景気が続き、イラクでは米軍の完全撤退後も自爆テロが続発。アラブ諸国では民主化運動が起き独裁者が殺され、ロシアでは反プーチン運動が起きています。また北朝鮮では金正日が亡くなり、EUではギリシャの財政が破綻しイタリア、スペインなども危機に瀕しています。中国だけが一人勝ちのようですが、輸出の減少や公共投資の下落で先行きが不透明になっています。
日本は相変わらずデフレ経済から抜け出せず国の借金が1000兆円に達しています。消費税増税や社会保障費の適正化を早急に実施、第3次補正予算を早く実行に移し復興を早めて欲しいものです。
こうした中、総合南東北病院は昨年、創立満30年を迎え12月4日に記念式典を行うことが出来ました。振り返ってみますと10周年の時は当院の存亡がかかったミドリ十字事件、20周年の時は9.11事件と金融の暴落、そして30周年には1000年に一度の大地震、巨大津波、そして最悪の放射能汚染被害に遭遇し未だ11万人の福島県民が避難しています。今後30〜40年かけてフクシマ第一原発を封じ込めるといいますが、大変なことです。私たちはこんな最悪な状態を乗り越え、地震の影響で倒壊寸前の旧保科病院全てを引き受け、昨年7月に仮設病院を作りわがグループの仲間入りをして、今は既に黒字化しております。
当院は@救急医療A先進医療(脳卒中・がん・心臓血管病)B予防医学C介護・福祉を揺りカゴから墓場まで(終末)循環式に完結することを目的としています。これから南東北グループが多くの困難の中で生き残るにはどうすればよいか。今年のスローガンとして@南東北グループの戦略作成A同グループ組織力の強化B同グループの人材能力開発の確立―を掲げました。
「戦略作成」では@8月1日にオープンする新百合ケ丘総合病院の対策を徹底する。初日外来400〜500人、入院は90日で377床満床を目指す。救急は絶対断らないA総合東京病院の24年度内新築着工(250床を診療継続しながら500床病院を新築)B新生病院の新築(24年着工、来年中に完成)CBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の24年度内着工、5年以内に臨床応用可能にするD子供園+熟年学校+知的障害学校+工場・工房計画E宿泊施設+クリニック+リハビリ+温泉+レストランF海外進出―など。二番目の「組織力の強化」では危機管理を含めグループの一体化を促進、指揮命令系統の統一を図る。三つ目の「人材能力開発の確立」では、今在職の優秀な人材を有能な人材にするための訓練・養成システムと部局を作り確立。海外からの人材確保や育成にも努めます。人材なくして戦略なしの構えでいきたいと考えています。
当院の院是は「すべては患者さんのために」。たくさんの患者さんに来てもらえる病院になることが目標でもありましたが、大震災以後は1日1500人以上、多い時は1700人が外来に訪れています。救急車の搬送も年間6000台を超えました。医療・福祉のグローバル化にも力を入れすでにブルネイ、インド、上海、ロシアの6医療機関とMOU(医療協定)締結。今年は提携機関を2ケタに増強する考えです。国内でも東京理科大学と郡山市の本院、新百合ケ丘総合病院が提携し学問と臨床の交流を促進します。
平成23年度の南東北グループは21世紀の医療キーワードとして従来の8項目に@病院近くに医療マンション+外来Aグループの拡大・充実・連携B効率的・安定的プロフェッショナル経営C包括医療への対応徹底D海外への進出―を加え13項目を挙げました。今年も医療水準の向上、信頼される医療機関のために不動の精神を持ち、使命感に燃え、奉仕の精神を尽くして「坂の上の雲」を目指します。本年も旧に倍してご支援、ご活用をお願いします。
平成24年元旦

8月開院に総力戦、新百合ケ丘総合病院

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