広報誌 南東北

第244号

急増の加齢黄斑変性症

失明する危険性も

目の成人病≠ニいわれる白内障、緑内障のほか最近日本でも加齢黄斑変性症が急増しています。欧米では中途失明原因の第1位の疾患ですが、老化と食生活の欧米化に伴いわが国でも発症する人が確実に増えています。大半が60歳以上、女性より男性に多いのが特徴ですが、失明する危険性もあり、50歳過ぎたら目の定期的検査をお勧めします。
加齢黄斑変性症の症状は最初、視界がぼやけたり中心に歪みが現れ、更に進行するとその部分が見えにくくなったり、暗く見えたりします。目をカメラに例えるとフィルムに当たるのが網膜。その中心にあり、目から見える物のピントが合う部分を黄斑といい、きちんと機能することで良好な視力を保ち、色の識別をしています。年齢を重ねると共に網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積し、黄斑部に異常を起すのが加齢黄斑変性症です。
萎縮型と滲出型の2タイプあり、萎縮型は網膜色素上皮が10年、20年といった単位で徐々に委縮し網膜が障害され視力が徐々に低下します。
怖いのは滲出型。脈絡膜から新しく、弱くてもろい新生血管がいつの間にか生まれ、そこから出血したり、血液の成分が滲み出て黄班の機能に異常をきたし視力が大幅に悪化します。症状が進むと色が分からなくなります。やや男性に多く、原因は加齢のほか喫煙や紫外線、ビタミン不足などが考えられます。
治療には視力検査、眼底検査、造影検査など詳しく検査する必要があります。ただ萎縮型には残念ながら今のところ有効な治療法がありません。滲出型の治療で最近主流になっているのが光線力学的療法です。光に反応する物質を注射し、新生血管に取りこまれた時、弱い出力のレーザーを照射して新生血管を閉鎖します。一般的に行われるのがレーザー凝固で、黄班の中心から離れたところにある場合は、強いレーザー光線で新生血管を直接焼き固めてしまいます。
この病気の予防は、喫煙している人はまず禁煙です。ビタミンC・E、βカロチン、亜鉛などを含んだサプリメントを飲むと加齢黄斑変性の発症が少なくなっていることが分かっています。また食事も緑黄野菜はサプリメントと同様に同編成を抑えると考えられています。肉中心の食事より魚中心が良いといわれます。
加齢による目の病気にはこのほか白内障や緑内障などがありますが、歳のせいと片付けず検査を受けることが大切です。
【白内障】
レンズの役割をする水晶体が白く濁る病気。40歳代で30%、80歳代で大半の人が発症するといわれます。水晶体のたんぱく質が濁ると物がかすんだり二重に見えたり、視力も低下します。薬物療法として進行を遅らせる点眼薬がありますが、近年は濁った水晶体を超音波で砕いて吸引し代りにレンズを入れる手術が主流です。麻酔をして行うため負担も少なく日帰り手術も可能。高齢者の方でも大丈夫のようです。
【緑内障】
眼球内に流れる房水という水分が正常に排除されず眼圧が高くなり、視神経が圧迫されて視野が狭くなっていく病気。中高年に多い。眼圧が正常でも視神経が損傷する場合もあり、神経戦が切れると視野が欠けるようになる。治療が遅れれば失明する確率が高い。ただ視野が欠けても良い方の目で補うため気付かないのが大半。治療は薬物療法ですが、40歳過ぎたら2、3年ごとに眼科で検査を受けた方がいいようです。

視野狭い・真中がゆがむ、お勧めします 目の定期検診

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