広報誌 南東北

第245号

大腸がん

早期は、ほぼ完治。早く見つけ、早く治療

日本人で最も多い死因はがんですが、その中で増加傾向にあるのが大腸がん。食事の欧米化の影響で今後も増えると予想されますが、食生活の改善で予防出来ます。6月14日に総合南東北病院で開かれた医学健康講座で中澤敏弘南東北医療クリニック院長代行が講演した「大腸がんのはなし」の内容を要約して予防法などをおさらいします。
大腸は盲腸から上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸と続く消化器最後の約1.5mの管です。食物の残りから1日約500mlの水分と塩分(ナトリウム、カリウム)を吸収し、固形の便を作ります。大腸がなかったら命に別条はありませんが、水様の便が1日10回ぐらい出てトイレ通いが大変です。
正常な大腸は血管が透けて良く見えます。がんは遺伝子の異常によって増殖。大腸粘膜の細胞から発生し腺腫という良性腫瘍の一部ががん化し発生したのと正常粘膜から直接発生するのがある。進行はゆっくりだが、粘膜の表面から大腸の壁に深く侵入、進行するにつれリンパ節や肝臓、肺など別の臓器に転移します。
日本人の死因は昭和22年ごろ結核、肺炎、脳卒中がトップ3でしたが、同55年ごろからはずっとがんが1位。これに心臓病、肺炎、脳卒中が続き今でもこの順です。男性は2人に1人、女性も3人に1人は何らかのがんに罹っているといわれるほど罹患率は高まっています。部位別では肺がんが1位で胃がんが減少、男性はこの45年間で大腸・結腸がん、女性は子宮・乳がんが増加しています。食事の欧米化が要因と見られます。地域的にみると結腸がんの場合、本県は平均的で北海道や青森、秋田など寒冷地が多く、九州、四国などが低い東高西低です。
大腸がんになりやすいのは@男性A高脂肪・肉食多いB喫煙C血縁者に大腸がん患者がいる家族歴Dビール多飲-などが危険因子。男性は女性の2倍ぐらい罹患・死亡率が高い。食事は昭和24年ごろのカロリーとほとんど変わりないのに脂肪、動物性タンパク質は3.7倍、肉の消費量は10倍で米やイモ類が減少している。魚食が多い日本やチリの結腸がん罹患率は低い。
国立がんセンターによると非喫煙者を1とした喫煙者の死亡比は全体で1.65倍、大腸・直腸がんは1.22〜1.27倍。たばこを吸うのは「ゆっくり自殺しているようなもの」。そればかりか受動喫煙で家族など周りの人の首を締めていることでもあります。
大腸がんにならないためには@禁煙A高脂肪・肉類が少ない食事。例えば和食Bビールはほどほどに-の励行だ。
がんになっても治すにはどうするか。現在では大腸がんの約6割が手術や内視鏡的切除などの治療で治り、比較的治しやすい。中でも早期がんは全部治るので早く見つけること。郡山市の平成21年度大腸がん検診で受診者2万3000の中から50人が見つかった。その44%が早期がん。直ぐ治療を受けている。とにかく検診を受けるべきです。
検診を受けずに自覚症状が出て発見された場合も出来るだけ早く治療すれば治りが早い。@血便や下血など出血A毎日きちんとあったのが便秘や下痢気味、トイレに行ってもすっきりしないB腹痛・満腹感C貧血・めまい・息切れD体重減少-などの症状が出たら早く受診すべきです。
「うつせみの世にはびこるやがん死亡 早期なりせば 治りしものを-中澤」

たばこやめビールほどほど。食生活 肉・高脂肪控え和食を

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