広報誌 南東北

第247号

増える心身不調の症状

発作繰り返し起こるパニック障害

東日本大震災から間もなく1年半。余震の続きか、いまだに地震が続発し予測できない不安を駆り立てます。そんな中で心身に不調を来す人たちが増えています。パニック障害もその1つ。症状に気付いても病気としてとらえることがないため心の病気の専門医に診て貰おうと思う人がまだ少ないのが現状のようです。つらい症状がある時は心の病気を1度は疑ってみる必要があるかもしれません。
突然、何の前触れもなく胸がドキドキしたり、息苦しくなったり、めまい、吐き気などの身体症状とともに「死ぬのではないか」といった恐怖や不安に襲われる状態をパニック発作といいます。この発作が繰り返して起こる病気が「パニック障害」です。
100人中1〜2人に発症、男女比では女性がやや多いといわれます。心臓の病気(不整脈、狭心症)や呼吸器の病気(喘息、過換気症候群)に間違われることもあります。発作が起きても医師の診察を受ける頃発作は消え、血液検査や心電図検査しても異常が見当たらないのが特徴です。
パニック障害にはパニック発作、予期不安、広場恐怖と3つの症候があります。
パニック発作は、胸ドキドキ、冷や汗、体や手足の震え、呼吸が速くなる、息が詰まる、胸の痛みや不快感、吐き気・腹部の嫌な感じ、めまい・ふらつき、しびれやうずき感、寒気・ほてり―などが強い不安、恐怖とともに出現。10分以内で頂点に達し、通常20〜30分以内で収まります。
パニック発作経験後「またあの発作が起きたらどうしよう」という強い不安を持つのが予期不安。これがパニック発作を誘発し、繰り返すたびにこの不安が増強。発作によって死ぬのでは、病気になるのでは、他人に迷惑をかけるのではといった別のことへの不安・恐怖も強まります。
広場恐怖とは、パニック発作が起こった場所や状況を避けるようになることです。人により異なるが電車やバス、飛行機、エレベーター、映画館、地下道、人ごみ―など様々。地震でエレベーターに閉じ込められた人はエレベーターや電車などの狭い空間を避け、苦手が多くなると外出できず閉じこもりがちになります。
パニック障害による不安が慢性化してうつ病につながる例もあります。パニック障害が起こる原因は脳内の神経伝達物質ノルアドレナリン(恐怖や不安に関係)とセロトニン(興奮を抑える)とのアンバランスと考えられています。
治療には薬物療法、認知行動療法、生活習慣の改善などがあります。薬物療法では即効性のある精神安定剤と抗うつ剤など主に2種類の薬物を使います。認知行動療法は予期不安や広場恐怖の原因の場所や状況に徐々に慣れていく、または不安や発作が起きても大丈夫だということを確認するなど行動によって誤った学習を刷新していく治療。例えば電車を不安に感じる人に付き添い一駅だけ乗ってみて不安を取り除いてやる、という具合に行動することで「正」のフィードバックを少しずつ獲得していくことです。ただし専門医の指導で無理せず慎重に行う必要があります。
生活習慣の改善も大事。睡眠を十分に取り、ストレスを貯めないこと。ビタミンCやカルシウムなどを多く摂りカフェインを控えるなど食生活を含む規則正しい生活が必要です。毎日頑張りすぎない程度のリラクゼーションの練習も大切。浅い呼吸より腹式呼吸、筋肉の緊張をほぐす軽いストレッチなどは効果的です。
パニック障害は症状の軽いうちから正しい治療を受ければ、簡単に治せる病気です。病気の兆しや特徴を知っておかしいなと思ったら早めに心療内科、メンタルクリニックなど心の病気を扱う医療機関で診察を受けて下さい。
周囲の方も病気を理解し温かくサポートしてほしいものです。

軽い症状、正しい治療/特徴知って早期受診を

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