広報誌 南東北

第252号

肩こり対策

肩温め、正しい姿勢 適度な運動・休養でストレス解消

◎痛み継続なら他病気の疑い 躊躇せず医療機関受診を◎
日本人の国民病ともいわれる肩こり。厚生労働省の生活基礎調査(平成22年)によると体の悩みの女性の1位は肩こり、男性も2位にランクされています。ところが「肩こりで病院に行くのは気が引ける」と躊躇する人が多いようです。悩まずに1度受診することをお勧めします。
肩こりは悪い姿勢、筋力の低下、血行不良、精神的ストレスなどが原因です。大半は不自然な姿勢をカバーするため首や肩周辺の筋肉が必要以上の緊張を強いられて疲労が蓄積し肩こりを起しているのです。筋肉の緊張が続くと筋繊維の中を通っている血管を圧迫して血行不良になり、血流が悪くなると乳酸などの老廃物が増え、周辺の末梢神経を刺激して痛みが生じます。これに加えて精神的なストレスが強まると血流をコントロールしている交感神経が過度に反応し首や肩周辺に血行障害を起すことや脳に伝達されたストレス情報が神経を伝って首や肩周辺の筋肉を緊張させ血行障害を起こすのです。長時間座ったままパソコンで作業していれば筋肉が固まり、疲労がたまります。また眼精疲労なども起し、そのまま放っておけば首や肩、腕の痛み、頭痛、吐き気、倦怠感など全身に不調が出て来ます。
これらの対策には症状にもよりますが肩を温める、正しい姿勢を心がける、首の前後の屈伸や回転・肩の上げ下げ・ストレッチなど適度な運動の実施、十分な休養を取りストレスを解消する―といった方法を行えば肩こりを防ぎ、改善可能です。
問題は、応急処置しても痛みが軽くならなかったり、肩こり以外にめまいやのぼせ、動悸、手足のしびれといった症状を伴う他の病気が原因の場合。胸が締め付けられるような痛みと同時に左側の背中や肩に強い痛みを感じる場合は、心筋梗塞や狭心症などの心臓の病気が疑われます。心臓の自律神経と首から肩の知覚神経とが同じ経路をたどるため心臓と肩の痛みが関連するといわれます。五十肩などの肩関節に起る病気や頸椎椎間板ヘルニア、その他精神的なストレスや喉、口の病気などがありますが、これらは病気そのものの治療が必要です。
鍼灸や指圧など民間療法で症状が改善される方もいると思いますが、民間療法ではX線検査などの医療行為ができません。このため肩こりの原因が病気によるものである場合、明らかにされないこともあります。肩こりの程度によらず整形外科などを受診して原因を特定、正しく対処することが重要です。長期的に血行障害をなくす食生活も大切。筋肉や骨を強くするため良質のたんぱく質、ミネラルが不足しないようにしたいものです。肩こりを軽く考えず医師の正しい指導に従って下さい。
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