広報誌 南東北

第252号

PET

PETは、ポジトロン・エミッション・トモグラフィーの略で陽電子放射断層撮影という意味です。がんは、実際に腫瘍ができたり、身体に変化が起きてから見つかることが多く、がん細胞の成長がある程度進んでからでないと発見しにくい病気です。早期発見のために特殊な検査薬で、がん細胞の目印をつけるのがこの検査の狙いです。
PET検査では、がん細胞が正常な細胞に比べて数倍から多い場合は20倍近くのブドウ糖を消費する性質を利用。ブドウ糖に近い微量放射性薬剤(FDG)を体内に注射したあと全身を撮影するとブドウ糖が多く集まるところが画像で分かり、その分布や動態から臓器の生理的・生化学的機能、悪性腫瘍などが診断できるわけです。
PETは、全身の画像を1度に撮影できるうえX線CTのように体を輪切りにした断層画像を得ることもでき、微小ながんも発見できる威力を発揮します。
検査時間は30分ほどですが、全身を1度に検査できることを考えれば非常に短時間の検査といえます。
ただがんの早期発見を可能にしたPETも全てのがん細胞を見つけられるわけではありません。正常でも活発にブドウ糖代謝を行なう臓器や排泄の際の通り道となる腎臓、尿管、膀胱などはPET検査に向かない場合が多いようです。また胃がんや肝臓がん、進行の遅い肺がんなどの中にはその性質や種類によってあまりブドウ糖を取り込まないものもあり発見・判定が困難な場合もあります。このためPETに加えて他の検査方法を併用する必要があります。
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