広報誌 南東北

第253号

高齢者の口腔ケア

歯磨きできる人は「自分で」

高齢になると口の中のケアは見落とされがちです。口の中を不衛生にしておくと唾液や飲食物が誤って気管に入った際、歯周病菌や様々な菌が一緒に肺に入り込み、抵抗力の弱い高齢者は肺炎を起こしやすくなり、誤嚥性肺炎で生命が危険にさらされる可能性もあります。認知症の人や何らかの病気で口の機能が低下している人は、そしゃくや嚥下がうまくできなくなり食べ物や飲み物、唾液が詰まって窒息する事故も増えています。
日本人の三大死因はがん、心疾患、脳血管疾患ですが、65歳以上ではこれに次いで肺炎が第4位です。肺炎は細菌やウイルス、マイコプラズマなどの微生物が感染して炎症が起こる病気で誤嚥性肺炎もその1つ。きちんと口腔ケアすれば歯周病を防ぎ、肺炎の原因になりやすい常在菌を減らし誤嚥性肺炎のリスクを低下させることができます。
自分で歯磨きできる人は時間がかかっても自分で磨きましょう。全ての介護に言えることですが「自分でできることは自分で」です。リハビリになるし生きる意欲につながります。口の中に歯ブラシを入れるのを嫌がる場合は、市販の口腔ケア用のスポンジを試してみて下さい。簡単で驚くほどきれいに口の中を掃除できます。柔らかいので抵抗感が少なく口の中を傷つけることも少ないようです。小児用の小さな歯ブラシを使うのも良い方法。丁寧に優しく磨いてあげるのがポイントです。
入れ歯は、つけっぱなしにしておくと細菌が繁殖したり、歯茎が充血して炎症を起こす場合があり、夜は必ず外して水の入った容器に入れておいた方が良いです。入れ歯が乾くと変形してはめにくくなったり、逆に入れ歯を外しっぱなしにして歯茎が痩せて合わなくなったりするので気をつけましょう。
また認知症が進行すると口を開けないなど治療するのが困難になります。認知症と診断されたら早い段階で歯科を受診し虫歯の治療や口腔ケアについて相談しましょう。

歯周病、誤嚥性肺炎のリスク減

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