広報誌 南東北

第256号

福島から脱喫煙社会の実現を!!
郡山で6人の専門家が持論展開

市民公開シンポジウム「タバコをやめれば笑顔が戻る」


脱タバコ社会実現などに意見を交わしたシンポジウム

 様々な角度からタバコの害を話合う日本学術会議脱タバコ社会の実現分科会主催の市民公開シンポジウム「タバコをやめれば笑顔が戻る」は、5月26日@午後1時から郡山市のホテルハマツで開かれ、約300人がタバコの健康被害、脱タバコ社会実現の必要性などを学び合いました。
 国際口腔医療財団と総合南東北病院の共催で内閣府特別機関・同学術会議の本県開催は初めて。主催者代表の瀬戸ユ一総合南東北病院口腔がん治療センター長が「タバコは本人より周りに害を与え放射能被害より有害。福島県から脱タバコへの一歩を踏み出してほしい」とあいさつしました。この後シンポジウムに入り同会議副会長の小林良彰慶応義塾大法学部教授が「受動喫煙防止条例の先進事例」、矢野栄二帝京大医学部公衆衛生学教授が「タバコの健康影響―我々はどう取り組むか」、望月友美子国立がん研がん対策情報センターたばこ政策研究部長が「健康危機管理における市民の役割〜NGO/NPO、アドボカシー、ネットワーク」、長尾徹岡崎市民病院歯科口腔外科統括部長が「口腔への9つのタバコの害―歯科医療システム活用のインパクト」、小山良太福島大学経済経営学類准教授が「農業政策としての福島復興ビジョン―原子力災害と福島県の葉タバコ生産」、渡邉一夫総合南東北病院理事長が「タバコと放射能による人への害」と題して講演。これを基に出席者の質問を受けながら脱タバコ社会実現に向けて意見交換しました。

たばこ税を増税すべき


小林良彰さん

 たばこは周りに迷惑をかける。ヘビースモーカーは止めていない。日本は世界各国に比べ安い。たばこ税を増税すべきだ。県・市町村税が減るから反対の声があるが医療費抑制で逆に増収になる。受動喫煙防止条例など規制は一律にしないと効果がない。教育施設は全て禁止にすべきだ。

職場の受動喫煙規制せよ


矢野栄二さん

 WHOはタバコが心筋梗塞や肺がんなど8疾患中6つに関係あると報告。日本産業衛生学会もタバコの煙が発がん物質と認定。5百万人以上の労働者が業務上その煙に曝されているが無規制。早く違法状態を改めるべき。宣伝が巧妙化し海外で儲けるJTの活動をチェックしたほうがいい。

脱たばこの行動日程作る時


望月友美子さん

 毎年13万人がたばこの健康被害、6800人が受動喫煙で死亡している。厚労省は今年度から初めてたばこの健康影響評価を行う。消費者に製品の危険性情報提供は当然。たばこ問題の専門家が少なくNPOやNGOとの連携も断片的。今後は一体となり脱たばこの行動日程を作る時だ。

禁煙支援に歯科衛生士活用を


長尾 徹さん

 タバコは病気。口臭や歯の着色、虫歯、歯周病、口腔がんなど9つの害を与える。特に口腔がんは重大。喫煙者の発症リスクは非喫煙者の3・4倍、受動喫煙でも1・6倍。欧米に比べ禁煙支援は20年遅れている。20万人いる歯科医師と歯科衛生士を活用すべき。小学校から禁煙教育だ。

転換作物のモデル作り急務


小山良太さん

 葉タバコはJTとの完全契約栽培。国産は単価が高いためJTは外国産に転換しつつある。原発事故によるたばこ売り上げ減を見越し放射線量が低い生産県の福島県でも半数が廃作に追い込まれた。地力が良い土地利用の再編や作物転換を可能にする新たな産地形成のモデル作りが急務だ。

禁煙外来活用でぜひ禁煙を


渡邉一夫さん

 国はがん対策で平成34年までに喫煙率を12%に抑える目標を掲げた。喫煙男性は非喫煙者より1・6倍がんの確立が高い。瞬間的に2000_Svの放射線を浴びたのと同じ。タバコには放射性物質が含まれ疾患原因の最大。しかし3カ月で禁煙は7割可能だ。禁煙外来の活用をお勧めする。

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