PET検診 PET検診
早期発見で変わるがん医療の現在
 
早期治療で医療費も軽減
国立がんセンター22万円は高い?安い?
当財団では「PETがん健診」18万円のコースをすでに実施しております。
 
 医療技術の進歩には目を見張るものがあります。早期発見で今やがんは治る時代。“不治の病”ではなくなりました。今回はがん検診で成果を上げている国立がんセンターのレポートを取り上げてみたいと思います。PETを使用したがん発見率は5%を超え、なんと通常の検診の50倍もの精度!厚生労働省は「全国にこうした高精度のがん検診を普及させ、がんの撲滅と医療費削減を目指す」としています。
 
 国立がんセンターの高精度がん検診は、がんセンターが開設した「がん予防・検診研究センター」で、昨年二月から実施されている。
 がん細胞がブドウ糖を大量に消費する性質を利用した「PET(陽電子放射断層撮影)」やエックス線を周囲から照射する「CT(コンピューター断層撮影)」、電磁波エネルギーを使った「MRI(核磁気共鳴診断装置)」、それに内視鏡といった高度な医療技術や手法を組み合わせて肺、胃、大腸など全身の臓器をくまなく調べる。
 がん予防・検診研究センターの担当者は「たとえば、肺がん検査の場合、市町村では通常、エックス線撮影を使う。ここでは体を輪切りにして撮影するCT検査を行う。これだと、肺の内部にできた微小ながんまで発見できる。子宮がん検査でも通常の細胞診に加え、MRIを使う」と説明する。
 PET検査を組み合わせてほとんどの臓器と組織を検査する総合検診は、女性で22万5750円。男性だと、18万9000円だ。
 がん予防・検診研究センターによると、昨年1月から今年1月末までの1年間に、40歳以上の3792人を対象に高精度がん検診を実施した。その結果、5.04%に当たる191人からがんを発見できた。

当財団で撮影したPET-CT症例画像の一例
 その主な内訳は、大腸がん、46人▽肺がん、31人▽前立腺がん、24人―だった。
 「高精度がん検診は、発見率が高いだけでない。早期がんの発見にも役に立つ。191人のがんを詳細に調べたところ、早期がんが九割を占めていた。すべてに治療の余地があった」と担当者。
 たとえば、胃がんの場合、これまで外科による開腹手術が一般的だった。しかし、早期の二センチ程度のサイズのがんで発見できれば、内視鏡を使う粘膜切除で治療でき、患者の負担はぐんと軽くなる。
 がん予防・検診研究センターの森山紀之センター長は「高い発見率に驚いている。さらに実績を重ね、早期発見と早期治療に効果のある検診技術を開発していく」と話している。

 厚労省も「高精度のがん検診の技術が確立して、国立がんセンターから地方にこの検診技術が波及すれば、がん治療期間が短くなる。そうすれば全国的に医療費が削減できる」と期待する。
 
早期治療で医療費も軽減
 がんによる死亡は年間32万人で、全死亡者の30%にも上り、日本人の死因の1位を占める。とくに発がん率、死亡率とも、男性が女性の2倍になっている。
 なぜ、男性にがんが多いのか?
 医療専門家は男性に多い喫煙を指摘し、「発がんの3分の2はたばこと食生活が原因。予防はまず、禁煙が第一だ」と強調する。近年、胃がんが減少し、肺がん、大腸がんが急増している。大腸がんは、肉類が多く食物繊維の少ない食生活が原因とされる。治療は出血を早く見つけられれば、まずは問題ない。検便による潜血反応検査と内視鏡検査を定期的に受けることが望ましい。乳がんも、マンモグラフィーと呼ばれる画像診断による早期発見・治療が注目されている。
 肺がんは治療が難しいが、禁煙で確実にそのリスクを減らせる。胃がんはへリコバクター・ピロリ菌の持続感染が原因と分かってきた。慢性の胃潰瘍や胃炎の場合は、ピロリ菌の有無を調べて除去する必要がある。肝がんはC型やB型の肝炎ウイルスの感染から肝硬変を経て、発がんするケースが多い。定期健康診断でのウイルス検査は欠かせない。
 医療技術の進歩で早期発見でき、手術や抗がん剤、放射線の治療も進み、″不治の病″でなくなってきたがん…。だが何と言っても大切なのは予防だ。バランスの取れた食事と適度な運動、それにストレスの軽減。心身の健康こそ、人が本来持つ免疫力を高め、発がんを食い止められる。
(本文記事はサンケイ新聞11月3日号より抽出)
 
 
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