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 2005年ノーベル医学生理学賞を受賞したのはバリー・マーシャル西オーストリア大学教授とロビン・ウォーレンス同大学名誉教授のお二人。ニュースによれば「ウォーレンス氏が発見したピロリ菌を、マーシャル教授自身が自ら飲んで急性胃炎になり、研究の正しさを証明した」とのこと。ピロリ菌を飲む研究者の真剣な表情が目に浮かび、クスッと笑えるエピソードでした。けれども、これは医学的には大きな成果です。ピロリ菌と胃の病気の関係について、健康注意報発令です!
 
ピロリ菌とは?
 人の胃は食べ物を消化するため粘膜から塩酸を含む強い酸性の胃液を分泌しています。このため「胃の中には細菌はいない」と長い間信じられてきました。しかし、ウォーレン氏が1973年に胃の組織を切り取って検査した患者の半数で胃の出口である幽門(ピロリ)付近に螺施形(ヘリコ)の細菌が集まっていて、細菌周辺の胃粘膜が常に炎症を起こしていることを発見、これがヘリコバクター・ピロリ菌です。
 当時は、胃潰瘍の原因はストレスや食生活が原因、と考えられていましたので、この細菌原因説はなかなか受け入れられませんでした。そこで1984年に、共同研究をしていたマーシャル氏は自分からピロリ菌を飲んで実証したのです。その結果急性胃炎になり、胃の炎症部分からピロリ菌を検出して自説の正しさを証明しました。
 
胃病・胃がんとの関わり
 ピロリ菌の発見は、これまで原因がハッキリしなかった内臓の炎症が慢性の感染症だったことを示しました。現在はピロリ菌が慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍はじめ、胃がんやリンパ腫など悪性腫瘍の発生にも繋がることも報告されています。
 ピロリ菌は飲食物を通じて感染しますが、日本人は先進国の中でピロリ菌感染者が多く、40歳以上の7割以上が保菌者とされています。北海道大学の畠山昌則教授の研究では「ピロリ菌が胃がんに関係することがハッキリ解明された唯一の細菌。除去すれば予防につながる」とされています。しかし、一方では完全に除去すると、食道炎や食道がんの発生につながることも明らかになってきました。このことから、「ピロリ菌は胃に寄生する常在細菌として、人間と共生しているのではないか」との学説もでています。(毎日新聞記事より抜粋)
 
胃がんの原因
 慢性胃炎を起こす要因がそのまま、胃がんの原因になると言えるでしょう。原因と考えられているのは1)塩分の多い食事、2)喫煙、3)刺激の強い食べ物、4)ストレス、5)遺伝、です。ピロリ菌だけでは胃がんに結びつくことはありません。ただ、ピロリ菌が感染している胃粘膜に危険因子が加わると、胃がん発生に結びつくことがある、と言われているのです。
 やはり、胃がん予防にも生活習慣の見直しが大切なようです。
  
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