南東北がん陽子線治療センターがいよいよオープンしました。
 
2008年10月
がん治療の最前線へ

 
 

南東北がん陽子線治療センター
  
オープニングセミナー講演&記者会見レポート(経団連会館・9月17日)
 10月1日(水)の「南東北がん陽子線治療センター」開院を前に、一般財団法人脳神経疾患研究所(福島県郡山市)では9月17日(水)、東京大手町の経団連会館でオープニングセミナーを開催し、講演と記者会見を行なった。
 セミナーは初めに渡邉一夫理事長が開会の挨拶を行った後、続けて陽子線治療の概要について説明、がん死亡が増大している現状と、狙ったがん組織だけに治療を行うことができる陽子線治療の特徴について講演した。  
東京・大手町の経団連会館11階 国際会議場で行なわれたオープニングセミナー
 
 
 次に不破信和センター長が陽子線の線量分布を従来の放射線と比較して示し、舌癌や肺癌、前立腺癌、上顎癌など多くの症例を紹介しながら、これまでは放射線治療の適応がなかったがんに対しても陽子線が有効であることを解説した。
  
陽子線治療の線量分布(提供:兵庫県立粒子線医療センター院長 菱川良夫先生)
 
 
 引き続き行われた記者会見では、民間医療機関としては国内初の治療施設となるだけに、病院経営上の採算性についても注目が集り、今後陽子線治療施設が普及していく可能性への関心が強く示されるものとなった。
 こうした点について、不破センター長は「建設費は約100億円。先行する国公立の施設の実績に沿って年間400人の治療を行っても、利益はほぼゼロ」であること、民間医療機関としては採算性は重視しながらも、進行肺がんへの適応など、進行がん治療のブレークスルーとして治療成績の飛躍的な向上を果たし、また、学会や論文などへの積極的な発表を通して、がん治療学にも貢献していきたいとする考えを示した。
より多く、一人でも多くの患者さんのために最高の医療を提供したいという思いが陽子線治療装置導入のきっかけです(渡邉一夫理事長)

記者会見で質問に答える南東北病院グループ・渡邉一夫理事長(左)と、南東北がん陽子線治療センター・不破信和センター長(右)
  
 南東北がん陽子線治療センターは福島県郡山市の同財団が運営する総合南東北病院、並びに南東北医療クリニックなどに隣接して建設され、治療開始へ向けた入念な準備が進められてきた。  
 粒子線治療施設としては国内で7番目の施設。民間病院としての特長を生かし、午後5時以降の夜間治療も実施する方針だ。   
 これまでも、総合南東北病院を中核とする南東北病院グループでは、がんの早期発見と早期治療の重要性に着目し、PET(ペット)検査を軸にした精度の高いがん健診を提供してきたが、これまでの標準治療に陽子線治療が加わることで、世界的ながん治療の拠点としての役割が期待されている。  
 米国では治療費が1000万円ともされる陽子線治療。国内でも300万円前後の治療費が設定されているが、民間の先進医療保険でまかなえる金額でもある。南東北がん陽子線治療センターでは当初は自由診療の扱いとなり、税込300万円の治療費も自己負担となるが、来年早々にも先進医療の施設認定が下りれば、治療費以外は健康保険の適用となる。  
 また、一部のがん治療については保険収載の可能性も見え始め、陽子線治療が切り拓くがん治療の未来に期待する声は高い。
 
 
以下の写真は、南東北がん陽子線治療センターの内部装置。医療専用に開発された陽子線システムは世界最小。静岡がんセンターの陽子線装置をベースに開発された
 
シンクロトン 回転ガントリー
  
 
回転ガントリー照射室(治療室/第1室・第2室) 水平固定照射室(治療室/第3室)
 
  
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