たくさんの人が楽しみながらリレー・ウォークに参加することも、リレー・フォー・ライフのスタンスのひとつ。メインステージではフォークソングの弾き語りや、ジャズ演奏、フラダンスなども披露され、仮設テントの各ブースではバザーや産直野菜の販売も行なわれた。
 参加チームのなかには、福島県立医大で治療を受けながら病と闘う子どもと家族のためのサポートハウス「パンダハウス」の皆さんや、「福島県心臓病の子どもを守る会」など、がん以外の患者・家族会の皆さんも。
 ほかにも、福島県看護協会や放射線技師会、臨床衛生検査技師会、作業療法士会や、企業・行政ボランティアグループも多数顔を揃え、「総合南東北病院」、「南東北福島病院」ソーシャルワーカーの皆さんも参加した。

リレー・フォー・ライフ in Fukushima

大会実行委員
齋藤彩子さん

 がんと向き合う24時間チャリティーイベント「リレー・フォー・ライフ2010 in福島」は、福島県立医大のグラウンドを舞台に、9月4日の土曜午後1時から、翌日の昼過ぎまで、夜を徹して開催された。
 「リレー・フォー・ライフ(命のリレー)」は米国が発祥。日本では2006年から始まり、東北では昨年の宮城県に次いで2カ所目の開催となる。
 大会には、がん患者と家族、友人や医療者、さまざまなボランティアグループがチームを組んで参加、24時間にわたってリレーしながらグラウンドを歩き、互いの絆を深め、がん征圧への願いを社会に発信した。
 参加したのは団体や企業など64チームのほか、総勢約3000人。一般の方の自由参加も多く、家族で駆けつけ、ウォークに参加する子ども連れの姿も目立った。
 会場には、各チームの特設テントが設置され、がんに対する正しい理解とがん健診率の向上などを呼びかけるポスター展示や相談コーナーなどが設けられた。
 夜間にはグラウンドを囲んで灯りをともす「ルミナリエ」が行われ、「HOPE」(希望)の文字とともに、メッセージを書き込んだ2500あまりの灯籠が夜空を照らした。
 開催準備は1年越し。大会実行委員で福島県立医大・医療ソーシャルワーカーの齋藤彩子さんは「準備は大変でしたが、体は疲れても、開催できて本当によかったと思います。自分の世界だけでは分からなかった方々の存在にも、リレー・フォー・ライフを通して出会うことができました。協力して下さった皆様に心から感謝しています」
 たくさんの人たちとともに歩くことを通して、がん患者さんのことを思う…。開かれた連帯感が印象的なイベントだった。

患者さんの人生をサポートする/医療ソーシャルワーカー

ソーシャルワーカーとしてリレーフォーライフに参加し、早朝まで深夜の時間をリレーした熊谷幸広さん。その翌週に開催された「ひいらぎの会」の講演会場でもお会いすることができました。「患者会の皆さんとも、積極的に交流していきたいと考えています」と語る熊谷さんに、病院のなかの相談窓口、医療ソーシャルワーカーの仕事についてうかがいました。

熊谷幸広さん
総合南東北病院 医療相談課 主任
社会福祉士・介護支援専門員

 患者さんが安心して治療をすすめられるよう、さまざまなご相談にのるのが、私たち医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の仕事です。
 総合南東北病院では中央棟1階のエスカレーター前にある医療相談課を窓口に、患者さんや家族の皆さんからいろいろな悩み、心配ごと、困りごとなどをお寄せいただいています。
 具体的には治療についての不安や治療費のこと、入院生活から退院後の社会復帰、介護サービスの利用など暮らしに関わる具体的なことも、患者さんの目線で一緒に考え、解決策を探すお手伝いをします。
 医療チームと緊密に連絡を取り合い、入院患者さんが治療に専念できるよう、心配ごとなどがないか、病室にお邪魔してお話をうかがうようにもしています。医療に関わることがらについてはしかるべき部署に橋渡しをし、病院の医師が治療方針についてご説明する際には、私たちも同席して社会福祉や医療制度の利用の仕方などをご相談頂くこともあります。
 特にがん医療に関しては「がん相談支援センター」を設置して、がんの病態や治療法などの情報提供にも努めています。
 がん治療にあたっては高額の抗がん剤を使うこともありますから、実際にどの程度の治療費がかかるのか、おおまかな数字を知りたいという方もいらっしゃいます。医療費や生活費で悩んでいらっしゃる方には、高額療養費制度や傷病手当などについてもご案内しています。利用にあたっては個々のケースごとに複雑な規定もありますから、お気軽にご相談をお願いします。
 また、陽子線治療センターの開設にともない、遠距離から治療に来られる方も多くなりました。治療後はご自宅に近い病院でスムーズに医療が継続できるよう、全国の医療機関と連携・連絡を取り合い、その後の治療や通院が円滑に進むような調整も行っています。
 入院患者さんはもちろんですが、外来の患者さんのご相談にも応じています。医師や看護師にはなかなか言いずらいことも、秘密厳守ですから気兼ねなくご相談下さい。

総合南東北病院 がん相談支援センター (医療相談課内)
TEL:024-934-5564 担当:今野・熊谷
がん相談支援センター内にはがんに関する新聞記事や図書が置いてあります。
「がんサロンほっと」は、患者・家族の方の交流サロン。ミニ学習会も開催しています。
(毎月第3金曜日・参加無料)